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2004.05.09

世界の中心で,愛をさけぶ

日劇2。
原作はあの『ノルウェイの森』以来,売上200万部突破したという大ベストセラー純愛小説の映画化。小説は読まずに観た。行定勲監督。大沢たかお,柴咲コウ,長澤まさみ,森山未來主演。
まず,冒頭,高校生の主人公のサク(森山未來)が防波堤で叫ぶシーンから始まる。いきなり何で叫んでいるのか,想像する。大切な何かを失くした時,自分に何も出来ないとしたら,17歳の僕もどこかで思い切り叫んでいたのではないだろうか。もちろんこの物語では,大切な何かとはアキ(長澤まさみ)のこと。この過去のシーンから僕達はこの映画の世界に引き込まれることになる。
主人公朔太郎(大沢たかお)にはもうすぐ結婚する恋人律子(柴咲コウ)がいる。引越のある日,律子は荷物の中から1本のカセットテープを見つける。もう今では年代モノとなったカセットテープが聞けるウォークマンを買い,テープを聴いた瞬間,律子は何かを思い出し,二人の新居に置手紙を残して失踪してしまう。とまどう朔太郎。が,あることで律子の行き先が自分の生まれ故郷であることに気付き,四国へ向かう。おりしも台風が四国に近づいていた。
ここから現在と未来がクロスオーバーした物語が始まる。朔太郎には律子を探す旅のはずが,次第にアキとの思い出を辿る旅へと変っていく。
高校2年生の朔太郎,サク(森山未來)は同級生のアキ(長澤まさみ)と付き合うようになる。容姿端麗でスポーツも万能,クラスの憧れの存在のアキ。最初は劣等感を抱くサクであったが,次第に彼女と等身大に付き合えるようになる。そこには10代後半だけが持っている青春時代のまぶしい輝き・純粋さがあった。そんな幸せな二人の運命が急変する。アキが白血病に倒れ入院してしまうのだ。
死の恐怖におびえながらも懸命に生きようとするアキ。そして自分が彼女に何もしてあげられないもどかしさを感じながら,真っ直ぐ彼女に愛情を注ぐことで彼女を支えようとするサク。
後半は,涙腺が緩みっぱなし。病気のため,無菌室に入れられ,頭もスキンヘッドにされたアキ。そんなアキに婚姻届を差し出し,結婚しようと言うサク。しかし,アキはだんだんと弱っていく。そこでサクはアキ憧れの地であったオーストラリアへの旅を計画する。出発の夜,無菌室を抜け出すアキとサク。しかし,台風のため飛行機は欠航となり,ふたりは出発できず,アキは空港のロビーで倒れてしまう。そしてその次の日,病院で独り眠るように息を引き取るのだった。
キーワードは,サクとアキが交換日記代わりにしていたカセットテープ。これがサクとアキだけでなく,現在の朔太郎と律子を結びつける重要なピースとなるわけだ。
とにかくサクとアキの数々のエピソードが純粋でまぶしい。それだけにアキの死というやがて訪れる死という現実がサクとアキを苦しめる。切ない,重苦しい時間。それでもこの重苦しい時間も純粋で僕らの胸に突き刺さる。
現在の朔太郎は,思い出を辿る旅の中で自分がアキのことを忘れていないことを知る。そして律子も過去を辿る旅の中で思い出す。かつて母の入院していた病院に入院していた優しいお姉さん(アキ)のこと。そのお姉さんに頼まれてカセットテープをある男子に届けていたこと。そしてそのカセットテープを届けようとして事故に合い,脚を痛めたということを。そしてたまたま雨宿りした町の写真館で見つけたサクとアキの結婚写真を見つけて,自分と朔太郎の出会いの運命に気付くのだった。そして彼女を追いかけて写真館に駆けつけた朔太郎に渡せなかった最後のカセットテープを言伝する律子。そのテープを聴いて朔太郎は,今の自分に一番大切なものが何かにようやく気付くのだった。
それを律子に伝えるため,朔太郎は律子を追いかけて空港に向かう。また台風は四国を直撃し,飛行機は欠航し,律子は足止めを食っていた。そして朔太郎と律子は,サクとアキが行けなかった約束の地,オーストラリアへ向かう。
そしてアキとの最後の約束,その地でアキの骨を撒くのだった。アキの骨はまるで手品のように,朔太郎の手から消えていった…。それは朔太郎と律子,サクとアキの愛が昇華した瞬間であった。
現在と過去が交差する中で,時間を越えてアキを思い続ける朔太郎の思いが痛いほどよく伝わってくる。そしてサクとアキのエピソードと二人の思いも。本当に後半は涙を流しながら観た。律子が二人の叶えられなかった望みを繋ぎ,朔太郎が結婚する人物であったという運命の絆にも感動。文句なく,これは泣ける作品である。
ただ,唯一語り足りないことがあるとすれば,朔太郎はなぜ律子のことが好きになったのか,ということである。ここをさらりとでもいいので,説明のエピソードを入れておけば,この映画は完璧に感動できる映画になったのだと思う。
とにかく長澤まさみと山本未來の演技がすばらしい,みずみずしく新鮮。これだけでも立派な純愛ラブストーリーだ。是非原作を読んでみたくなった。僕は朔太郎と同世代。それだけに共感できるところが多くある。ウォークマン,夢中になって聴いた深夜ラジオ,そこから流れてくるヒット曲等。『ノルウェイの森』を大学時代に読んで,主人公の過去の物語が,その時の僕のジャスト同世代の物語で,その衝動的な恋愛に衝撃を受け,感動した。是非,映画化してほしいと思ったが,その夢は叶わなかった。今度は,あの時とは逆に30代後半の僕が高校時代の僕に戻ってこの物語を読んでみようと思う。

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