ロスト・イン・トランスレーション
シネマライズ。
ソフィア・コッポラ監督。ビル・マーレイ,スカーレット・ヨハンソン主演。
この映画も先週の火曜日の休みに渋谷で観た。全国ミニシアターの総本山とも言えるシネマライズでロングラン公演を続けているこの作品には実はとても期待していた。
異国の大都市,東京に放り出されたボブ(ビル)とシャーロット(スカーレット)の出会いと別れまでの物語。
主人公二人が出会う場面までのストーリー展開がゆるく,なんと始まって15分ほどで寝てしまった。またも起きたらエンドクレジット。もう帰ろうかと思ったが,このロングラン公演には訳があるはず。もう1回,気合を入れ直して観ることに。二人が出合ってからが本筋だったのね。違う文化,言葉の飛び交うつかみどころのない街,東京。言い知れぬ不安と孤独感にさいなまれながら,年齢も性別も超えて二人の心は溶け合っていく。このあたりの心理描写が体温に近いぬくもりのように感じられ,絶妙。『ゆるい』展開も独特の透明な空気感を感じさせ,鼻につかない。二人がしたことと言えば,いっしょに夜の街で騒ぎ,遊び,食事を共にし,ホテルの部屋で映画を観ながら酒を飲み,とりとめのない話をしただけ。衝動的な男女の恋愛の形などどこにもない。それでも,その二人の存在とその独特の空気感に共感してしまわずにはいられないのだ。友情以上,愛情未満。二人の関係はそんな感じ。でも,心の奥深いところでは結ばれているような気がする。
ラストシーン,アメリカへの帰路の途中,雑踏の中にシャーロットを見つけ,車を止めさせて彼女を追うボブ。彼女を抱き寄せると,耳元で僕ら観客には聞き取れない何かをささやく。このシーンでのスカーレットの涙ぐみながらもはにかむ表情が強烈に印象的。そして,二人は最初で最後のキスを軽く交わすのだ。このラストシーンはすばらしい。このシーンだけでもこの映画を観る価値は十二分にあるように思えるほどだ。一体ボブはなんと囁いたのだろう。どういう言葉を繋げたら,好きな女性にあんなすばらしい表情をしてもらえるのだろう。男のひとりとして,なんとか知りたいと思うミステリアスな部分。『一期一会の至福』,この映画にはそんな柔らかで心地よい幸せが詰まっている。本当に観て良かったと感じるなかなかの佳作であった。
Comments
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Posted by: How To Get A Quick Loan | 2014.09.28 at 02:33 AM
こんにちは☆
私も途中退屈かなぁとも思いつつ、
頑張って?最後まで観て、映画館出た時は「あぁ~なんか素敵な映画だったわ~」と思いました。
ラストシーンが特に素敵でした。
ビル・マレーのくたびれ加減も良かったです。
トラバはらせてもらいました。
Posted by: ともっち | 2004.08.12 at 07:05 AM