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2004.09.26

誰も知らない

シネ・アミューズEAST。
是枝裕和監督。柳楽優弥主演。
1988年に巣鴨で起きた子供置き去り事件をモチーフにした映画。大好きな母親に取り残された4人の兄妹がけなげに,必死に生きようとする姿を描く物語。カンヌ映画祭で,主演の柳楽君が14歳で主演男優賞を受賞した作品。
4人兄妹は,別々父を持つ。戸籍もなく,学校にも行かせてもらっていない。長男の明(柳楽)を除いては,マンションからの外出も禁じられた閉塞的な生活を続けている。それでも,大好きな母親からの言いつけ,ルールを守り,つつましくも幸せな生活をおくっていた。しかし,母が新しい男と突然家出し,その小さな幸せも次第に壊れていく。それまで,母の元で,兄妹の父親代わりとして,生活を支えていた長男の明。しかし,そんな生活が長く続くはずはない。母からの連絡も途絶え,次第に明の傷ついた心は兄妹達の面倒をみることに疲れ,次第に4人の生活は荒れていく。母からの送金もないままで,光熱費の取立てが来るようになった。明は4人が一緒に暮らす大切さを改めて思い知り,もう一度兄妹達と向き合おうとする。そして,母との約束を破り,4人で外に出かける。初めての4人での開放的な世界。このあたりから物語に俄然輝きが増してくる。季節のうつろいと共に成長していく兄妹達。夏,電気も水道も止められ,公園で水汲みをしながら,暮らす兄妹。それでも,悲壮感はない。ある日,一人の少女と出会い,少女は4人の家に遊びに来るようになる。しかし,ふとした少女の行動が明を傷つけ,明は兄妹達につらく当たるようになる。妹と喧嘩をし,家を飛び出した明。ぼんやり眺めていた学校のグランドで声をかけられ,少年野球の試合に参加することになる。憧れのユニフォームに袖を通し,少年らしい笑顔で球を追う明。久しぶりの子供らしい時間。しかし,家に戻った明を待っていたのは,突然の末の『妹の死』…。
言葉に出来ない,涙も出ない悲しみ。しかし,受け止めなければならない現実。明は,妹の死体をスーツケースに入れて,妹が行きたがっていた空港に少女と共にモノレールに乗って向かう。飛行機が見える草原にスーツケースを埋葬する明と少女。埋葬が終わる頃,上る朝日を見つめる明と少女。少年時代との決別。大人への成長への時。象徴的な場面だ。明は決心する。残された家族を守る男になろうと。
少年から大人への階段を上っていく過程を丁寧に描いた物語。明の少年としての,傷つきやすさ,不安定な心,大人への成長を誓う強い決心を柳楽優弥が飾りのない等身大で演じている。彼の目の輝きが印象的ですばらしい。子供達だけで生きていこうとよりそうラストシーンの兄妹達の姿が胸に突き刺さる。涙がとめどなく流れるという感動とは別の,やんわりとした感動が得られる作品だった。

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