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2004.11.30

6選手を解雇

中国新聞によると,クラブはリカルド,外池,佐藤一,西村,松浦,中山と来期の契約を結ばないことになった,とのこと。こうやって実名が挙がってくるとリアルというか,やはりプロっていうのは厳しい世界だ。高卒3年,大卒2年で会社からクビを切られるってのは残酷とすら思える。でも,それが自分で選んだ道,プロという世界。サンフでは花開かなかったけれど,是非ここからなんとか這い上がって他のチームで自分の生きる道を見つけてほしいと願う。
先日の福岡対山形の試合をTVで観た。好きな選手だったのにサンフをクビになってしまった恭平が怪我をおして頑張ってプレイしてた。練習生から這い上がってレギュラーを勝ち取った恭平。他に宮崎や松下,そして梅田も活躍していた。彼らに続け,と。今までチームを支えてくれてありがとう。これからの新天地での活躍を祈ってます。

今季ずっと元気批判をブッてきた僕だけど,天皇杯で使っておいていきなりクビ切りにはびっくりしました。レンタルかな,って思ってました。この6人の中では唯一行き先(札幌)が見えているわけで,自分に足りないところを必死になって埋めてほしいな。シュート撃てよ,とにかくシュート撃っとけ。
次はレンタル組がどうなるかですか。おそらく帰ってくる選手はいないだろうなあ。茂木がレンタルで出されないか心配。茂木という才能を上手く育てられなかったのだとしたら,クラブとしてはかなりの重罪だと思うんだけれど。前俊は絶対潰すなよ。

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2nd.対浦和戦,0-1

埼玉スタに行って来た。6万人は入らなかったけど,それでも5万2千人か。本当にスタンド中が真っ赤だった。でも,応援の迫力というか一体感は新潟スタの方が上のような気がした。あのオレンジの軍団は本当にすごかった。これは気持ちの問題で,電車乗り継ぎ1時間半の埼玉スタと新幹線で遠路はるばるの新潟スタでは気合の入れようも変わったのかもしれない。紫のサポはビジター席の300人弱くらいかな。それでも,負けないくらいに声を出していたと思うし,僕みたいな観戦系の人でもサンフの勝利を信じて必死で応援していたと思う。
試合は,開始早々のネネの赤紙一発退場(あれで退場なの,って現場での感想)も,サンフは数的優位を活かしきれず,後半,ハンジェを投入し,4バックに変更したところでコウタのクリアミスが飛び出す。浦和ボールになったところでなんとトゥーリオに屈辱のゴールを許し,結局最後までこの失点を挽回することが出来ず,赤い軍団に惜敗となった。
昨日,帰ってきてなんて書こうか悩んだ。HFも読んだ上で一晩考えて『この試合に関しては選手達はよくやった』と書こうと思った。試合終了後の紫のサポも選手を侮辱するような声はなく,あくまで選手達を鼓舞するような質のものだったと思う。そこで,今日帰宅して,せとさんのところを覘くと,せとさんにしては珍しく辛口のコメント。悩む。
10人の相手にポゼッションは五分五分だったことは認める。でも,同じ10人相手にチンチンにされた清水戦のような醜さは現場で観ていてなかった。小村を中心に吉弘,西河のDF陣は本当に良く頑張っていた。前半,エメルソンに作られた決定機は2度くらい(1本はオフサイド,もう1本は下田が横っ飛びファインセーブ)。それだけに小野監督にしては早すぎる(相手は10人なんだから当然なんだろうけど)後半開始時点での西河→ハンジェの交代は現場で観ていて,どうよ,って感じだった。不安とは当たるもので,4バックに入ったコウタの軽いプレイ(あれを赤い波の上に浮かび上がるオーロラビジョンでスローで観せられる最悪の気分たら)から痛恨の失点。それまで浦和のFW3人をなんとか自由にさせず押さえ込んでいただけに痛すぎる失点。あの(だよなあ,サンフ的には)トゥーリオに決められ,ゴール裏の看板の上に駆け上がってのパフォーマンスを観せつけられる屈辱。いやあ,あれは向こうのサイドで良かった。こっちのサイドでやられた日にはもう立ち直れないくらいの屈辱だったろう。この時点では,まだ信じていた。サンフの選手がこちらサイドのゴールネットを揺らしてくれることを。そして,ゴール裏の僕ら紫のサポに向かってガッツポーズを決めてくれることを。そんな思いの中,右サイドからのハンジェのクロスに中央でチアゴがヘッドで合わすも惜しくもゴールマウス左に外れる。ここで,ベット→前俊。ええっ,前俊インはいいとして,交代はベットかよ。ゲームでの消えっぷりから言うと浩司じゃないの。この後,左ショートコーナーからコウタがクロス,ファーでチアゴが折り返し,中央で大木シュート,惜しくもGKにはじかれる。振り返ってみるとこのプレイがこの試合最大のチャンスだった。その後,中央でボールを持った俊介が浦和DF陣をドリブルで豪快にブチ抜く(中野さんマジ,5人抜き?)。俊介のすばらしい可能性を存分に発揮した見応えたっぷりのプレイだった。この後,大木→盛田。今日の大木は悪い時よりはミスも少なかったと思う。ダメダメってほどじゃなかった。盛田を入れたが,盛田の高さは上手く使えず。その後サンフは何度かの決定機を作るもののシュートは枠に行かず。このまま試合終了。
先制後は,ほぼ浦和FW3人を抑えていたと思う。エメ,田中達,永井にドリブルで振り回されるようなことはほとんど無かったように思う。1点差とは言え,チャンピオン浦和に,相手は10人ということはあるが善戦出来たと思う。前出の清水戦よりは明らかに選手達は奮闘していたと感じた。あきれて観戦する気力もなくなり,寝てしまうようなこともなかったし,最後まで一緒に戦えた。
もちろん,スタッフ・選手達には,なぜ勝てなかったかを十分に考えて分析してほしい。『気持ち』とか言っているうちは論外。そんなために試合後の紫のサポは選手達を鼓舞する応援をしたのではない。そして,予想外の早いオフとなった悔しさを,もう一度じっくりかみ締めてほしい。ただクーリングすることだけじゃなくて,来期に向けて早い身体作りと個々の課題に向けたレベルアップに有効に使ってほしい。
今年は関東圏(というか東日本)アウェイでは結局1勝も勝ち試合を観ることが出来なかった。来年も東京に居られるかどうかは仕事の関係で微妙なのだが,残れば来年も名古屋以東アウェイ完全制覇を目指したい。全部勝てとは言わん。せめて目標五分でお願いします(あれ,目標は優勝のはずなのにこれでいいの?ここは現実的に。)。

長く厳しく苦しいシーズンが終わっていろいろ思うことがあるが,それはまたぼちぼちと。しかし,kasaさんところは,すでにものすごい物量アップしてるなあ。さすが。しかし天皇杯がないんで,ネタがないなあ。今年の正月は帰らん決意だったのに。ユース応援いくかあ。サンフが優勝するところをこの目で観たい!けど,最近金欠気味…とほほ。
関東に来たことだし,スキーにどっぷり浸かるってものありかな。しかし,これにも金が…。

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2004.11.28

今日の埼玉スタ

赤い軍団、6万人もいるかなあ。紫サポは300人くらい。ここで勝ってみろ。観戦記は明日。

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2004.11.27

2nd.対大分戦,0-0

やっとスカパー観戦。なんかホーム最終戦にしては,やけにまったりとした試合だったんだね。なんか拍子抜け。去年はJ1昇格決定試合だっただけに,試合後は泣きながらセレモニー最後まで観てたもんなあ。嬉しかったなあ。もう二度とこんな苦しいシーズンを送らずにすむと思っていた。そう考えると,今年は本当,予想以上に厳しくて苦しいシーズンになったのだけれど。
試合はチアゴのPK失敗が全てでしょう。あれを決めておけば勝ちに持ち込めた試合。あれで勝ち運が逃げてしまったよ。チアゴ,運がないよ。来年どうなるのかなあ。磐田戦は45分でヘロヘロだったのを考えると,90分出場出来たのは驚きだけど(これはライヴで観ないとなんとも言えないのだが),契約の延長は微妙なのでは。サンフがそんなに新しく当たりFWを連れてくるとは想像出来ないので,できれば残ってほしいけれど。ベットのFWってやっぱり僕的には違和感ある。加入当初はゴールも決めていたし,もっと決定力あると思っていたが,これだけ外されるとねえ。この試合は後ろからの浩司の飛び出しが抜群だっただけに余計そう思ってしまう。一番チームで決定力のある選手を後ろに回すってのはどうかなあ。いずれにせよ,ボランチの人選はベットとカズはデフォルトで,洋次郎とか一誠とかも含めて競争させてほしいな。今のハンジェでは手詰まりだと思うので。
やっぱりFWも難しいな。この試合の大木はミスが少ないという点では良い出来だったと思う。でも,ゴールを陥れる怖さってものが足りない。試合毎,試合の中での波が大きすぎる。大木もここまでか。盛田もゴール前で勝負出来ないし,シュートがない。セットプレイで頭で合わせたところを観たことがないが,これも限界なのかもしれない。若手FWの台頭が望まれるがなあ。茂木,田中,木村,前俊あたりか。俊介も今のスタイル突き破らないと,いずれプロの壁にぶち当たることは間違いなさそうだし。俊介以外,あれだけFWがいて一人も使い物にならないというのは痛い。
DFは要補強ポイントだろう。なんで藤井君昇格かせなかったんだろう。明らかにCB手薄なのに。もったいない。小村が来年も今年のようなプレイが出来るか。リカは浦和戦の遠征メンバーから外れたようなので,おそらく今年限りなのだろう。理想としては4バックで行きたいけど,コウタのサイドの守備が軽いことが気がかり。西河も吉弘も粗が見える。新外国人選手の補強も含めて,ここが来期に向けて一番の課題には間違いない。
大分戦は,決定機も少なかったが,それを決めきれなかったことが勝ち点3を逃した要因。今年はこういう試合を(特に関東圏では)何試合も観てきた訳で,2万人のホームサポを前に勝利をプレゼントできなかったのは罪だと言える。試合後のセレモニーの小野監督のコメント(失言)に大ブーイングが出たそうだが,それも致し方ないと思う。僕としては,あのマグノアウベスにほとんど仕事をさせなかったことは賞賛に値すると思うのだが。そう考えると,今の実力では引分けもやむなしかなあ。
さて,明日は浦和戦である。調整モードの浦和に対し,どれほど高いモチベーションで対抗出来るかが鍵になる。撃ち合いになったら確実に負ける。とにかくウチのストロングポイントである中盤で勝負して,なんとか1点勝負に持ち込みたい。引いたらエメルソンにやられる。とにかくエメにフリーでボールを持たせないこと。小村の評価が問われる一戦になる。もちろん,応援に行くよ。6万人の赤い軍団相手に紫の魂の意地をみせてくる。そして,勝つ。

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2004.11.26

モーターサイクルダイヤリーズ

恵比寿ガーデンシネマ1。
ウォルター・サレス監督。ガエル・ガルシア・ベルナル主演。

23歳の名もなき青年医学生エルネストは,先輩アルベルトとともに中古のおんぼろバイクに乗って南米大陸を縦断する旅に出る。それは遥か1万kmを大走破する無鉄砲な計画だった。長い旅の果てに24歳になった青年の心の中に起こった変化とは…。

キューバ革命の英雄,エルネスト(・チェ)・ゲバラの青年時代の冒険旅行を描いた作品。
あちゃ~,観て1ケ月も経ってしまったよ。細かいところはちょっと怪しくなっていると,まだまだ公開が続きそうなので,いつものネタバレは控えます。この作品は是非観てほしい佳作です。
すいません,僕,世界史とってなかったんで,ゲバラのこと全然知りませんでした(汗)。一般常識に欠けているとも言えますか。でも,そのおかげで変な先入観持たずに観れました。普通,ロードムービーっていうと,もっと泥臭い気がするんだけれど,この作品は潔かったです。思想の押し付けではなく,政治色がほとんどないのが良い。怒涛のような感動,って感じではないんだけど,爽やか感動が吹き抜けました。何よりもおんぼろバイクがぶっ壊れて,題名の『モーターサイクル…』が序盤であっさりと終わってしまうのが,いい。バイクを降りてから,徒歩で歩く旅になってからが,ぐっと魅せる作品です。観終わった後,なぜか自分が清らかで高貴な心を持っているんじゃないかと,ふと錯覚してしまいそうになります。それでも,いいじゃないか,と。この作品の前では,潔くなりたいとそう思えるのです。

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TUBE

新宿ジョイシネマ3。
ペク・ウナク監督。キム・ソックン主演。

これも今日で公開終わりなので,急いでアップ。ウルトラ簡略版。
これはですね,観ていて昔懐かしいものがありました。撃っても撃っても切れない弾丸。撃っても撃っても主役には当たらない弾丸。…そう,あれです,『西部警察』!ありえないでしょう,マジで。韓国でもこれありっすか。出来合いのプロットですが,それでも,なんとか楽しめました,ラスト15分までは。あのラスト15分で,それまでのアクション映画がメロドラマに確変。ありえないでしょう。女スリ役のペ・ドゥナはかわいかったけど,あのラストはないよなあ…残念。

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キャットウーマン

新宿ミラノ座。
ピトフ監督。ハル・ベリー主演。

油断してたら,今日で公開終わってしまうみたいなんで駆け込みでアップ。超簡単に。
ハル・ベリーには拍手です。僕よか年上(とりあえずですが)ですよ。それなのにこのセクシーで格好良いことったら。でも,結局それだけの作品なんですよね。CGはスパイダーマンもどきだし,悪役のキャラ(シャロン・ストーンはよくこの役やったとは思う)も肉付け弱すぎ。僕はミシェル・ファイファーの大ファンなので,彼女のキャットウーマンがほどほどで懐かしい。ごめん,ハル・ベリー。

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2004.11.23

ハウルの動く城

広島宝塚会館1。
宮崎駿監督。声:倍賞千恵子,木村拓哉他。

18歳のソフィーはある日,街で美貌の青年と出会う。しかし,その夜,ソフィーは荒地の魔女に呪いをかけられ,90歳のおばあちゃんに姿を変えられてしまう。家にいられなくなって街を出たソフィーが辿り着いた先は,あの美貌の青年,魔法使いのハウルが住む動く城だった…。

事前のネットでの情報を一切シャットアウトして観た。広島で日曜の2回目の回。『踊る大走査線』や『千と千尋の神隠し』等がそうであったように,この映画館で大ヒットになる作品はビルの外まで大行列になるのが常識。1時間半前から並んで座れなさそうだったら帰ろうと思って行ったら,案外空いてる。開場・上映間際になってもこの広島で一番大きな映画館は満員にはならない。公開2日目でこれでは大丈夫か,ハウル。とか心配してたら,ニュースで『公開2日間で邦画史上最高の興行収入』なんだとか。やっぱり広島人は冷めてる?

まず,みんなの最大の関心事。キムタクの是非について。僕はキムタクに変なアレルギーはないが,結構上手くハウルにハマっていたと感じた。普段スマスマで見るような,ナルナルした雰囲気でやられたらアウトだったけど,そこは良い加減でアクを抜いていて,力みが取れた丸くて優しく耳に入ってくる声色が印象的だった。ベストとは言わないが合格点をあげてもいいと思う。ま,終盤の方はほとんど台詞らしい台詞もなかったのだが。
ソフィー役の倍賞千恵子は上手かったなあ。18歳から90歳まで,様々な年齢の声を演じ分けるのだが,予想に反して違和感を感じない。声優を替えるという手も確かにあるのだが,この映画は幅広い年齢層を狙った作品だし,ソフィーの心情変化をいちばん上手く表現するには,一人がやりきるのがベスト。この狙いに間違いはなかったと感じる。
この作品でいちばんおいしいところを持っていったのは,火の悪魔カルシファー役の我修院達也とハウルの弟子マルクル役の神木隆之介君だろう。我修院は声優一本でも食っていける。このカルシファーは過去の宮崎作品中のキャラの中でも屈指の面白みを持つキャラではないだろうか。神木君は声だけでもやっぱり天才だ。作品中の細かい笑いのツボをしっかり押さえてくれている。それがちゃんとおかしいのがまたうれしい。神木君ファンの僕としてはたまらない至福の時間だった(終盤,台詞がなくなってしまうのだけれど)。
(以下,いつもどおりネタバレ)

さて,物語。ソフィーがハウルの城に住み着き,ハウルとその仲間達と過ごす中で不思議の魔法の世界を体感していく前半部分はテンポもあって文句なく面白い。動く城や各キャラもちゃんと立っていて,分かりやすいし,物語にすーと気持ちが入っていける。だが,それも王室付魔法使いサリマンの追っ手をハウルとソフィー達が振り切り逃走するあたりまで。この後,動く城は引越することになり,魔法のドアの向こうの大草原にソフィーとハウルが出かけるあたりから話がややこしくなる。ソフィーが突然18歳の姿に戻ってしまうのだ。ソフィーの呪いは解けたのか。だが,それは実態ではなく,ソフィーの『意識』の姿がイメージされているのだと気付かされる。これ以降,ソフィーの描写年齢が場面場面で老若ころころ変わる。これには最初は『イメージだ,惑わされるな』と言い聞かせて観ていた僕も,終盤18歳の姿のまま出ずっぱりのソフィーを観るにあたって,『俺,呪いが解けた重大な場面を見過ごしたかも』と気になって物語に集中出来なくなる。こうなるともうプロットが理解できなない。ハウル,ソフィーに向かって『守るものができた。君だ。』って言い残して戦いに出かけていくが,あんた誰と戦うの?ソフィー,サリマンからの追っ手を振り切るためにカルシファーを一度城の外に連れ出し,魔法が解けて城をぶっ壊しといて,すぐカルシファーを城に連れ帰り,『ハウルのところへ連れて行って』って,あんたそれじゃ何で城壊しちゃったの?ボロボロになった城でハウルの元へ向かう途中,城が壊れてソフィーは崖下へ落ちる。気付くと目の前には魔法の扉が。扉をくぐるとそこは,ハウルと行った大草原。草原の向こうには少年時代のハウルが自由の身だったカルシファーと契約を結んでいる(らしい。とにかく観客に想像せよ,という意図的,でも不親切な演出)。ソフィーは二人に叫ぶ,『私きっと行くから。未来で待ってて』と。…これでハウルとカルシファーとの契約の秘密が明かされる訳(のはず)だが,観ている僕にはその秘密とソフィーとの関係が全く分からない。この状態でラストシーンに突入するので,なぜハウルが蘇ったのか,なぜカルシファーは自由の身になったのか,全く理解出来ない。頭の中で『なぜ?なぜ?』という言葉が渦巻き半パニック状態に陥る。相変わらずソフィーは18歳の姿のまま。なぜ…。そのまま物語はハッピーエンドへ。ハウルとソフィー(やっぱり18歳)とその家族達が新しい城(これは宮崎流遊び心に溢れていて楽しい)で幸せに暮らす姿でエンドとなる。

この作品,思った以上に凝っている。画もそうだが,プロットが予想に反して複雑。これでは子供には理解出来ないのではないか。そう考えれば子供向けの『千と千尋』の分かりやすさが懐かしくも感じる。テーマも反戦や老人問題等多岐にわたって,どれが本命か悩む。最大の疑問,『ソフィーの呪いは解けたのか』。終盤,最後まで18歳の姿ソフィーが出続けて幸せを掴むのだが,このソフィーが実は90歳のままで,僕達が見ているのは『意識』のイメージなのだとしたら,この物語は新機軸の立派なファンタジックラブストーリーである。ハウルはそのソフィーのイメージを愛するのだから。だからハウルにはそう見える。ハウルが見えるように僕達も見える。だとしたらすごい。でも,多くの一般大衆にそれを納得させるには,画力も足りないし,台詞も足りない。台詞は意図的にカットしているのだから,やっぱり画力が足りないと言わなければいけないだろう。宮崎作品としては珍しい,マニアックな色合いの作品であるように思う。

とは言え,そういう深読みしたりして観なければ,素直に楽しい作品だし,作品としてのクオリティもとても高い。観て損はない。先にも言ったが,各キャラがすばらしく魅力的だ。欲を言えば,ハウルをもっと丁寧に描いてほしかった。特に終盤部分はハウルの存在自体が消えているのでもったいなかったように思う。もっといろんな魔法を使うハウルでも良かったように思う(後半,ただ飛んでるだけなんだもん)。

さて,この作品で『千と千尋』超えなるか。僕は単純な『千と千尋』並に万人受けすることは少々難しいと診たが,結果やいかに。
よし,他の人のネット批評みてまわるとするか。誰か『ソフィーの呪いが解けたのか』どうか,と『ハウルとカルシファーの契約の秘密』とは何か,を教えて下さい。

追記。この結果,僕の宮崎作品の1位は『天空の城ラピュタ』で変わらず。TVアニメを含めると『未来少年コナン』が文句なしのNO.1。CGアニメ全盛の時代だけど,こういうしっかりした手書きアニメを見ると心和らぐ。日本のアニメ文化に感謝。

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2nd.対磐田戦,3-2

6ケ月半ぶりのビッグアーチ。中野編集長の前説を聞ける喜び。そう,このほのぼのしたまったり感が我らがホームの雰囲気(笑)。久しぶりの勝ち試合を生で観た。いや~,生で観る勝ち試合はホント最高!シビレた~。おまけに自力で残留確定に持ち込めた。ほっとひと安心。たった1勝がこんなに嬉しいなんて!いいトシしてこんな追っかけ(万博と大分以外はアウェイ全部行った)みたいなことやっていて,たまに自問自答(『そんなことやってるからいつまでも独身なんだよ,バ~カ』とか『こんなへたれチームのサポなんかこのまま真面目にやっていていいのかよ,俺の人生…』とか…)したくなることがあるが,この勝利の瞬間の圧倒的な感動が全てをチャラにする(すまん,俺はサンフを現実逃避の道具に使っている,マジで→爆)。いやはや本当に心の底から嬉しい。一体いつから勝ち試合を生で観ていないのだろうと振り返ると,なんとリーグ戦ではGWのC大阪戦。ナビスコ入れても7月のこれもC大阪戦以来。しかもどっちも長居まで遠征したのに酔っ払って半分以上寝てたという情けない状態だった。9月の3-0で勝利した東京V戦はなんとまだビデオ観ていないのだ(実はこの勝利は本当に気持ち良かったらしい)。こんなに勝てないと分かっていたら,あの時,目をバッチリ見開らいてありがたく観たろうに。でも,本当はたかが1勝でこんなに喜んでいてはいかんのだが。『2nd.は優勝争いが目標』だったはず。どうしてこんなことになってしまったのか。その答えがこの試合にはあったと思う。

前半序盤,ボールのポゼッションはジュビロ。プレスも厳しいし,DFラインの押し上げも強い。サンフ押し込まれているが,決定的な場面までは作られていない。ジュビロの2トップを自由にさせていない。サンフもチアゴを軸に反撃に出る。チアゴ,先週の横浜FC戦よりもずっといい。相変わらず運動量は望むべくもないが,マイボールになった時のプレイの判断が的確ですばらしい。前への意識が強く,やはり頼りになる。ジュビロDFもかなり警戒している。そんな中,浩司が奪取したボールを大木へ,大木がワンタッチでチアゴに。チアゴ,相手DFの頭越しに前のスペースへループパス。そこへ走りこんだのは浩司。浩司,すばらしいトラップ一発でDFを置き去りにすると慌てて飛び出してきたGKをあざ笑うかのように中央へパス,そこに飛び込んできたのはチアゴ~!チアゴがしっかりとボールを押し込み,ゴール。なんと劣勢の中,サンフ先制。このゴールの展開は流れるようで素早く美しかった。練習でもあんな綺麗な崩しは滅多に出来ないだろう。こういう攻めが毎試合の中で何度かずつ出来るようになれば,もっともっと得点の香りがするチームに成長出来るかもしれない。その後,PA内で名波にシュートを撃たれるも,吉田がカバー,CKへ。このCKを福西に合わされるも,下田キャッチ。その後はジュビロのペース。サンフはFWにボールが入らなくなるが,なんとか持ち堪えている。
特に今日はカズの出来が良い。いつもはベットの方が目立つのだが,この日はカズだ。とにかく球際に厳しく相手に当たってボール奪取を連発している。そこからのパスの散らしもボールの質も良い。判断の良いドリブル突破もある。僕的にはダメダメだった神戸戦時の不出来とは雲泥の差。こんな人に強い選手だったか,カズ。
前半終盤はサンフがペースを握り,何度か決定機を迎えるも,得点には至らず。40分過ぎからチアゴ,明らかにバテ気味。
後半,ジュビロはこの日,あまり目立ってなかった藤田に代わり川口イン。後半立ち上がり,左サイドどフリーのコウタへパスが通り,左サイドを切り裂く。フリーのコウタ,ニアサイドにDFを引っ張って飛び込んでくるチアゴの上,ファーサイドに抜けるクロス,それをドンピシャのボレーで合わせたのは抜群のタイミングでフリーで走り込んできた浩司!右足で逆サイドのネットを揺らす強烈なシュートが決まり,ゴール。2-0。押されながらもサンフがリードするという不思議な展開。後半8分,チアゴに代わり盛田イン。チアゴ,まだフル出場は無理か。『でも,これで今日は勝てるかも…』と淡い期待を抱いたが甘かった。後半13分,ジュビロ,この日チアゴにチンチンにされた大井が成岡と交代。後半中盤,右サイドからのジュビロクロスに下田,パンチングで逃れる。宙に浮かんだボールにサンフの選手達はボールウォッチャーに。落ちてきたボールを福西がフリーでボレーシュート,ゴール。2-1。リカルドの守備が軽い。この後,ジュビロDFのヘッドでのバックパスをGKが取れず,ボールは転々とゴールへ。これが決まったら,柏の南以来の珍プレイになるところだったが,惜しくもゴール左に外れる。後半28分,浩司に代わりハンジェ。この交代はどうか。大木が交代ではないのか。悪い予感が的中する。ベットからのパスを大木がポストで受けてバックパス。なんとこれがジュビロ前田へのナイスパス(大木~,試合の中で波ありすぎ)となり,カウンターをあびる。守備の枚数が足りない。右サイドからのクロスにファーサイドでヘッドで合わせたのは飛び込んできた成岡,2-2,痛恨の同点弾。自滅で勝利を手放してしまういつものパターン。35分,ジュビロ,グラウに代わり西野。サンフも負けずとラスト10分を切ったところで大木に代えて俊介を投入。後方からのクロスを前線で盛田がヘッドで競り勝ち,前方のスペースへ流す。ボールにフリーで反応したのは俊介。俊介はボールが落ちてくるところを迷わず左足を振り抜く。強引な力任せのシュートではなく(なんと)狙いすましてコントロールされたすばらしいシュートがGKの手をかすめてゴール右隅に決まる。うおおおおおお~~!ビッグアーチに物凄い地鳴りのような大歓声が響く。3-2,起死回生の勝ち越しゴール。今日もダメかと正直思っていただけに,このゴールには本当にシビレた。あれを決めるか,本当にすごいぞ,俊介。やったぞ,Jリーグ初ゴール。この後,ジュビロがDFラインを強力に押し上げ,勝負に出てくるも,そのまま凌ぎ切り試合終了。

同点に追いつかれた時は,『またですか(この思いは関東サポなら余計強いだろう)』と諦めモードだったが,その最大の危機を救ったは18歳の少年。それでも,この少年のシュート技術と決定力と勝負強さ,そして持って生まれた運の強さは群を抜いている。彼がボールに触るだけでスタンドが沸く。どんなプレイを観せてくれるのだろうとワクワクし心が躍る。こんな選手は久保以来かもしれない。メインSS席の僕のすぐ前で行われた俊介のヒーローインタビューでは感激して涙がこみ上げてきた。願わくば,トップに上がっても,このまま伸び続けてほしい。もし,この才能を潰したら,それはスタッフ・フロントの大きな罪だ。サテの壁にぶち当たってくすぶっている若手FW達のようにはなってもらいたくない。俊介がこのまま伸びなかったらサンフに未来はない。サンフのエースナンバー背番号『10』は歴代の日本代表FWが背負ってきた栄光の系譜。それを自力で勝ち取るような選手に成長してほしいと切に願う。

さて,課題。
チアゴの契約はどうなるのか。間違いなく潜在能力は疑うまでもない『怖いFW』。今年の成績不振の最大の要因はチアゴの長期離脱であり,チアゴに代わるFWがついに育たなかったことによる。怪我がなければ計算できるので来年も観てみたいが。また怪我してダメなら即解雇し,他の強いFWをなんとしても引っ張ってくるくらいの意気込みがフロントにほしい(クビにしたら他のチームが拾いそうで怖いが…)。とりあえずあと2試合出場できるか,だな。
リカルドの処遇。この試合でも観られた軽率なプレイは目に余る。そろそろ我慢も限界に来た。次節は黄紙累積で出場停止。これが実は,チームのモデルチェンジのチャンスかもしれない。吉弘,西河,そして八田あたりに頑張ってポジションを勝ち取ってもらい,更に活躍を期待する。

さあ,もう入替戦の心配はなくなった。明日(もう今日か)の大分戦が実は来期を占う上で重要な試合とみる。チアゴとリカルド不在の中で,磐田戦の良い時のサッカー(素早いパス展開からゴールを狙う,や,全員参加の我慢強い守備等)を貫いてホームできっちり勝ち点3が取れるか。大勝でなくてもいい。なんとしてもホームでは絶対勝て。勝って関東に帰って来い。そして,チャンピオン・レッズに正々堂々と立ち向かおう。もちろん僕も現地で応援する。

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2004.11.20

今日の広ビ

勝ってくれ。観戦記は明後日。pic_0031.jpg

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2004.11.18

笑の大学

シネクイント。
星護監督。役所広司,稲垣吾郎主演。三谷幸喜脚本。

昭和15年,警視庁保安課取調室。そこで出会った二人の男。一人は心から笑ったことがない男,情け容赦ない検閲官・向坂(役所)。もう一人は笑いに命を懸ける男,劇団『笑の大学』座付作家(稲垣)椿。椿が持ち込んだ喜劇の台本を上演禁止に追い込もうと無理難題を次々に課す向坂。これに応えながらもむしろ笑いを増やす抜け道を考えていく椿。こうして向坂の要求は皮肉にも台本をどんどん面白くする方向に向かうことに…。

面白いと世間で大評判の作品。この作品は,僕の感性が最もぶっ壊れていた時期に観たので,以下のコメントはあまり参考にしないでください。
(以下,いつものとおりネタバレ)

声を出して笑えたのは3回だけ。昔,『ラヂオの時間』では大笑い連発してた僕なのに。いや,実際の劇場内は爆笑の渦だった。一人冷めていた自分が悪い。内容を観ると,役所広司の演技は凄い。役にハマリ切っている。それでいて面白いのが凄い。取調室内を走り回る姿などにはそこまでやるか,できるのかと…。問題はやはり椿の描き方かな。椿,こんな不思議ちゃんでいいのかな。もうちょっとだけ熱血漢ぽいほうが良かったかも。もちろん計算された演出で,そういう椿に知らず知らずのうちに向坂が人格変化されてしまう面白さと椿の人間としての器の大きさを出したかったのだろうとは想像する。二人芝居なだけに椿側からの笑いのジャブがほしかった気がするけどなあ。ラストの,完璧な喜劇台本を創り上げた二人に訪れる悲劇的な別れ,ってのもちょっと引けた。あそこまで盛り上がったところで,心の中で『もう出てくるなよ』とささやいていた言葉があった(確かに悪い予感はした)。『検閲』という言葉だ。あの言葉が再び出てきた瞬間,心地良い高揚に水をさされたような気がした。それにトドメの椿への『赤紙(=召集令状)』の登場。そうきたか。三谷幸喜がやりたかったのは『喜劇風』シリアスドラマだったのか。それにしては長い前振りだな。あのラストの意図的な『裏切り』は僕的には安易に受け入れられなかった。それがこの作品に感動出来なかった理由。よって後味の悪い鑑賞記になった次第。非常に残念。本当はこの作品を観て世間のみなさんのように『面白かったよ~!』と素直に言いたかったのですよ。自分自身にかなりへこんだ。

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2004.11.17

W杯一次予選,日本対シンガポール戦,1-0

最終予選進出決まってるし,久保の出ない代表戦には興味がないので簡単に感想だけ。
玉田の先制点(これは玉田らしい得点)までは良かったんだが,それ以降は停滞気味。前半半ばくらいまでなら小笠原が輝いていたが…。後半は鈴木まで交代で入って,A代表が鹿島勢4人の『プチ鹿島』状態に。なるほど,ジーコ,これがやりたかったのか。途中出場の注目の大久保は少ないチャンスで決定機を二度作る(しかし,あれがオフサイドか~?)など持ち味を出していた。しかし,目立ってアピール出来た選手はいなかったと思う。ホームだからなあ,もっとすっきり勝ってほしかったけど,ま,こんなもんでしょう。しかし,ジーコ,本当に運が強い。最後のシンガポールのシュートが入って同点になっていたら,選手達のメディアの評価も変わっていただろう。あれが入らずに勝ちきるところがすごい。と言うか,絶不調サンフサポ的にはすごくうらやましい。その勝負運と神通力,どうか是非某監督に分けてやってください!
さて,今日は4バックだったけど,最終予選ではどうするのかな。ヒデと俊輔の両立はありえるのか。そして何よりも最終予選までに久保は怪我を治して復活できるのか。僕的にはドラゴン復活を切に希望。久保もそろそろ歳だし,ここで怪我を治しておかないと今後のキャリアにも影響するしな。それに久保が出ないと代表の試合も本気で観る気起きんしな。早く絶好調の久保が観たい~(あれ,代表戦の話だったっけ)。

そう言えば来月のドイツ戦(久保が出ないと分かっていたからあまり執着心なかった)のチケット発売はどうなってるんだろうと久しぶりにJFAのサイトを覘くと,なんと今日のお昼で申込み締切り!ああ,一日遅かったよ(泣)。せっかく東京にいて代表戦観やすい環境にいるのに。ま,チケット当たるかは分からんのだけど,この登録抽選方式は潔くて良い。電話やPCの前で何時間もイライラしなくてもいいし,発売日前日からチケット売り場に並ばなくてもいい。運まかせだから諦めもつく。ま,次ものんびりTV観戦といきますか。

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2004.11.16

ロード88 出会い路,四国へ

シネ・アミューズEAST。

中村幻児監督。村川絵梨主演。

海を越え,四国は徳島の地に降り立つ一人の少女。彼女の名前は明日香(村川)。彼女の目的は四国八十八ケ所お遍路の旅。陽気にスケボーに乗って颯爽と旅は始まった。しかし,本当の明日香は『骨髄性白血病』という病と闘う少女でもあった…。

この日は2本ハシゴしたのだが,最初の1本目がお目当てで,この作品はオマケのつもりだった。その1本目が思ったほど良い作品ではなく(その作品の鑑賞記はちょっと後回しにします),ちょっとがっかりした状態でこの作品に臨んだ訳だが…。
おかげさまで見事に元気回復,気分爽快!ホームランとまでは言わない。でも,目の覚めるクリーンヒットのような作品だ。観れて得した。本当に素直にそう思える。すばらしい!
(以下,いつものようにネタバレ)

余命一年と宣告された白血病の少女が『生きている証』を求めて決心したお遍路の旅。それは死と向き合う旅のはずなのに,死の恐怖におびえながらも一途に生きたいと願う明日香の前向きな姿勢よって,この旅には悲壮感がない。常に前向き。だから観ているこちら側も感情移入してしまう。もう少し,あと少し,頑張れって,観ながら心の中で自然と応援したくなる。この少女に心救われることになるおじさん二人の存在も良いアクセントになっている。幼い頃別れた母と再会するシーンが2回あるのだが,どちらも違う種類の涙で(切ない涙と感極まった涙で)泣かされる(この『感性壊れた状態』の僕が!)。『白血病』というと『セカチュー』のせいで=死を連想させるのだが,この作品では,お遍路の旅を達成した(もちろん母親との再会もこの決心の旅の中にある)彼女に奇跡が起きる。ラストも『生きる』ことにもっともっと前向きな明日香のシーンで終わる。拍手!!彼女との出会いがみんなの『生きる』勇気になる…パンフのこの言葉はダテじゃない。
映画初出演・初主演という村川絵梨。全然そうは見えない堂々とした演技。なんとスケボーもこの映画で初めてなのだそうだ。すばらしい!今まで全然知らなかったコだけど,これからに要チェックかもしれない。
全然大げさな演出があるわけではない。奇をてらったエピソードがあるわけでもない。それでも八十八ケ所を巡る旅少女の旅を観終わった後,とても優しい気持ちになれる秀作です(これはたぶん広島では観れない作品なので,佳作ではなくてあえて秀作と言い切ります)。

追記。最近『感性がぶっ壊れた』状態の僕だが,この作品を鑑賞し,どうやら『病気もの』に弱いらしいことが判明。前日,『Dr.コトー診療所2004』観ながらボロボロ泣いてたし…。しばらくこの路線で行くかな。

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2004.11.15

オールド・ボーイ

シネマスクエアとうきゅう。
パク・チャヌク監督。チェ・ミンシク,ユ・ジテ主演。

平凡なサラリーマン,オ・デス(チェ・ミンスク)はある日突然誘拐され,意識を取り戻すと狭い監禁部屋にいた。その後15年もの間,理由も分からないまま監禁され続けた後,突如開放される。一体自分はなぜ,誰に監禁されたのか。復讐を誓うデスの前に現れた謎の男,イ・ウジン(ユ・ジテ)…。

今年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品。巷では面白いと大評判の大人のサスペンスなのだが…。
僕の鑑賞後の感想。ずどーんとどうしようもなく暗く沈んだ気分に落ち込んでしまった。後味が悪すぎた。そのせいで面白いとはとても思えなかった。確かに『二人の男のそれぞれの復讐劇』はとても重みがあるし,『15年の監禁の意味』や『なぜ復讐するのか』が一気に明らかになるクライマックスにはそれまでの伏線の張り方の巧みさと相まって,なるほど,とうならされる。全体の作りは丁寧だし,テンポも悪くない。復讐劇はドロドロと深みがあり,話に奥行きを出している。謎解きへの面白さもある。役者もそれぞれの役の味を上手く出している。最後も(おそらく)ハッピーエンド(と好意的に解釈すべきだろう)だ。
それでもやはりこの暗い気分は晴れない。鑑賞後の重く苦しい空気。それがこの作品の面白みを消してしまっている。この復讐の結末は僕には重すぎたということか。良く出来た作品だが,僕の好みではない。

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2004.11.14

天皇杯4回戦,対横浜FC戦,0-1

三ツ沢に行って来た。『今季関東初勝利』を信じて。それが,信じられないような惨敗(完敗じゃない,本当に惨めな惨敗だ)。なんと今年のシーズンは12月の声を聞く前に終わってしまったのだ(入替戦が無ければ,だが)。断言しよう。このチームは残りのリーグ戦3試合は絶対に勝てない。入替戦を回避するには,他チームが負けてくれることを祈るしかない。入替戦にまわったら間違いなく負ける。それくらいの負け犬のメンタリティしか感じない。情けないを通り越して恥ずかしい。

相手はJ2の8位のチームだ。それが,試合開始直後からの横浜FCの負けないぞという『気迫』に完全に飲まれてしまう。ボールはクリア出来るのだが,全然余裕がない。結果,中盤でボールを支配され,どんどん押し込まれる。とにかく,一対一,球際での勝負で全員負けている(なんと試合後のインタビューで小野監督が認めている)。横浜FCの攻めはシンプルだ。中盤でボールを奪取したら,サイドへ展開。ドリブルでコウタ,駒野を押し戻してそこから中央へ。FWがサンフDFを背負いながら押し下げ空けたスペースでゲームメイクする,という感じ。とにかく前へ,の気迫がすごい。それでもDFラインを押し上げ,中盤で勝負すればよいのだ。なぜ出来ない?結局,コウタ,駒野は相手の圧力に押し下げられなかなか攻撃参加出来ない。前半中盤からようやくペースをつかみ出し,惜しいシュートが観られだすが,とにかく入らない。俊介,二度決定機を作るが,一度はGKのファインセーブに阻まれ,二度目はポスト直撃(跳ね返りをを元気,更には跳び込んだカズがシュートするも続けてGKに止められる)。この時間帯ベンチの指示がよく分からない。最初,ベットがトップ下だったのに,いつの間にかカズがトップ下に入っている。中盤を立て直そうとの意図か。そうじゃないでしょ。そんなことやるくらいなら浩司をトップ下に入れろ。前半終了間際にベットが負傷し,タンカで運び出される。大丈夫か。そのまま前半終了。
後半。ベットは大丈夫だった。ハンジェに代わり浩司イン。浩司,FWに入り,3-4-3に。序盤に両チームとも決定的なチャンスを外す(これも俊介,惜しい)。サンフ,走り負けている。ベット,元気のワン・ツーからシュートチャンスを何度か作っている。しかし,今日のベットは珍しくミスが多い。やはり中盤勝負で完敗,サンフの方がカウンターサッカーをしており,流れをつかみきれない。逆に横浜FCに右サイド突破されクロス,これを中央で合わされるもシュートは左ポストをかすめて外れてくれた。助かった。ここでまたポジションチェンジ。浩司とベットが入れ替わる(ベットがトップ下の3-5-2かも)。29分,またも,ベット,元気からのパスから抜け出し,GKと一対一に。決めろ~!との思いも届かず,GKにまたスーパーセーブで止められる。33分,元気に代わりチアゴ!(キタ~~~!)てか,遅いだろ!10分しか使えんヤツを連れてくるな!約半年ぶり出場のチアゴ,なかなかボールに触れない。やはりコンディションは素人目に観てもまだまだのようだ。だが,元気と違ってターゲットにはなる。なんとかチアゴにボールを集めて形を作ろうとしている。だが,39分,DFがPA内の混戦で相手のプレッシャーに負けてクリアで逃げて与えたCKから,なんとヘディングシュートを決められ先制を許す。中盤では負けていたが,決定機の絶対数はサンフが多かっただけにこれは本当に痛い失点だった。42分,吉田に代わり盛田。ベットも上がって,4-2-4?ここで切り札が盛田しかいないのが痛い。ロスタイム,PAすぐ前でFK奪取。最後のチャンス。ベットと浩司が並ぶ。位置的にはベットだが,ここは浩司が蹴る。ボールは枠の上へ,外れた~。更にチアゴがPA内に持ち込んでシュートを放つも,またしてもGKに阻まれる。更にCKを連続して2本奪取するも決められず。万事休す。このまま試合終了。

まさか,まさか横浜FC相手にポゼッション出来ないとは思ってなかった。今日の敗因は数ある決定機を決めきれなかったことが一番の要因だが,その前に『気持ち』で負けていたのが残念でならない。毎年,天皇杯の初戦は苦戦するが,今日の試合が一番情けなかった。たとえ勝っていても,この情けなさは消えなかったろう。リーグ戦が本当に心配だ。こんな試合をしていてはJ1では絶対に勝てない。今になって『気持ち』がどうこう言っていること自体が恥ずかしい。プロだろ?プロらしいところ観せてくれ。
各論。なぜ元気なのか。もういい加減にしてくれ。確かに後半は,ベット,俊介と絡んでパス交換から何度かチャンスを作っていたが,自分でシュート撃ったか?俊介でもDF背負ってボール受けたらすぐ前を向いて勝負を仕掛けて(横浜FCのDFの寄せは甘かった)いたのに,元気は何が出来たの?自慢の運動量,いつも空回り。ハイボール競り勝てない,ボールキープも出来ない,個人で突破出来ない,シュート撃てない…。もう観飽きたよ(名古屋戦のビデオはまだ観てません)。本当に元気よりましなFWいないの?いや,いなくても,ここで使って育ててほしかった。どうせ負けるんだったら。
俊介は最初から90分使うつもりだったの?ベンチメンバーに何で盛田がいるの?今日はどういうゲームプランだったわけ?チアゴはデフォルトなわけでしょ(しかも15分しか使えない!)。どうしてアタッカー入れとかないの。これももういい加減にしてほしい。もっと希望のあるベンチメンバーを選んでほしい。
今日は両サイドを徹底的にヤラれたわけだが,なんか手は打てなかったの?悔しいけど,その痕跡が見られなかったのだが(その前にフォーメーションが観ていてよく分からなかったのですが)。浩司をボランチに使うってどうよ(しかも45分だけ)。ベットのトップ下って本当にいいわけ?痛し痒しだよなあ。

ダメ。愚痴る元気も失せた。結局,今年は関東(いや東日本)では勝ち試合を観せてもらえなかった(あれ,まだ赤い軍団との試合もあったけ。どうせボコボコだよ)。ま,今日のようなヘボ試合をホームでしなかったからまだましか(と考えて自分を慰めよう)。何度も言うが,アウェイでどんなしょぼい試合をしてもホームでは必ず勝て。俺を予想を覆してくれ。(なんだかんだ言いながら来週は広島に帰ります)

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2004.11.11

僕はラジオ

シャンテ・シネ2。
マイク・トーリン監督。キューバ・グッディングJr.,エド・ハリス主演。

知的障害を持ち,学校にも行かず仕事もなく,ラジオだけが友達だった青年(キューバ・グッディングJr.)。ハナ高のアメフトチームのコーチ,ジョーンズ(エド・ハリス)は,ふとしたことから彼にチームの世話係を頼み,『ラジオ』というニックネームをつける。やがて,ラジオは授業にも参加。前向きで明るく純粋なラジオはたちまち人気者になり,学校だけではなく町中の人々との友情を深めていく…。

サウスカロライナ州アンダーソンにあるハナ高のアメフトチームの名誉コーチ『ラジオ』の実話!に基づく物語。
この物語はとても潔い。観ていて本当に心洗われる。それはラジオの心がどこまでも無垢で善良だから。ラジオはいつも明るい。ラジオはいつも素直。ラジオはいつも純粋。ラジオはいつも優しい…。映画の物語の中で,ラジオにまずジョーンズが心を洗われ,次に生徒達,そして町の人々と次第にラジオの優しさに心洗われていくのだが,それは観ている観客も同じ。純真で無垢な知的障害者に健常者が心を救われるのだ。それも決して押し付けがましい感動の押し売りではない。素直にそう思えるのだ。
ラスト,今も『現役』で実在のラジオが出てくる。驚き!本当に映画のとおり高校生達とアメフトをし,無邪気にチームを応援している。実話であるという説得力がその静かな感動をより大きく清々しいものにする。
ラジオ役のキューバ・グッディングJr.の演技(純粋無垢なラジオを好演)も素晴らしいが,ジョーンズ役のエド・ハリスのラジオを優しい気持ちで包み込む演技・存在感がシブく魅せてくれる。
派手さはないが,観終わった後,心が少し優しい気持ちになれる佳作である。

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2004.11.10

SAW

新宿オデヲン座。
ジェームズ・ワン監督。ケアリー・エルウェズ,リー・ワネル主演。

老朽化したバスルームの中の対角線上に目覚めた二人の男,ローレンスとアダム。二人はそれぞれ足首に鎖をはめられ動けない。二人の間には自殺死体があった。手元にはカセットテープ。再生すると乾いた声が響き渡る。『6時間以内に相手を殺すか,2人とも死ぬか』…。

僕は『怖い系』がとても苦手なので,スリラー,ホラーの類はどんなに評判が良くてもめったに観にいかない。しかし,『感性がぶっ壊れている』状態の最近の僕は,この状態を何とかするために『ショック療法』としてその観に行かないはずのスリラーであるこの作品をチョイス。ドッキドキで映画館に入った。ほら,やっぱり怖いよお…。

そして感想…この作品はとても面白い。やられたあ,まんまとハメられたあ。こんなオチとは全く想像できなかったよ。とにかくラスト近くで物語が二転,三転。そして畳み掛けるように天と地がひっくり返るくらい驚愕のラストを迎える。このラストは本当にすばらしい。拍手せずにはいられない。細かいこと言えば,いろいろ設定の無理があって突っ込みどころもあるし,最初はむちゃくちゃ怖い空気放出しまくりだったのに,最後に向かうにつれ,だんだん怖くなくなっていく(あくまで僕的な感想),っていうのもどうかと思うけど,あのラストのすばらしさに免じて見逃そう。良かったあ。『感性が壊れて』いてもこの作品が面白いということに気付けて…。きっと普通の状態だったら,もっと感動出来ていたかもしれないなあ。きっと推理好きの僕が真犯人に全く近づけなかったのもポイント高くなった要因だな。

(悔しいからちょっとネタバレ)

真犯人が『アイツ』でないことは観ていて初めから読めてた。後は,どうやって真犯人を引っ張り出すか,その糸口をずっと探していた。でも,結局見つけられなかった。で,驚愕のラストの3分間に突入。いやあ,ホンマびっくりした。そう来ましたか!そういうオチですか!そういう伏線ですか(ちょっと無理があるけど)!感嘆!としか言いようがない。とにかくラスト3分を観て下さい。本当にびっくりしますから。

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2004.11.09

SURVIVE STYLE5+

VIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズ。
関口現監督。浅野忠信他出演。

『殺しても殺しても蘇ってくる妻を殺し続ける男の話』,『観客に催眠術をかけたまま殺されてしまう人気催眠術師とその恋人のCMプランナーの話』,『催眠術をかけられてしまい,自分を鳥だと思い込んで暮らす男とその家族の話』,『空き巣仲間の3人の若者の話』,『殺し屋とその通訳の話』の5つのエピソードが展開され,絡み合っていく物語。

憧れのVIRGIN六本木ヒルズに初めて行った!(これ観たのは東京国際映画祭開幕の前の週)。東京に来て,六本木の街には飲みにいったことはあるんだけど,六本木ヒルズは初めて。なんか受けるイメージが『いかにも都会』(ああ,とことん田舎者!)みたいじゃないですか。まあ,実際行ってみると,ちょっと小綺麗なただのシネコンだったんですけどね。

で,作品。もう公開終わってるんで簡単に。まあ,2時間退屈せずには観れた。視覚と聴覚に訴えてくる斬新な映像と音楽(これは認めます)。インパクトのある芝居もある(アクの強い催眠術師を怪演する阿部寛とか,何度殺しても蘇ってくるターミネーターばりの妻を冷々淡々とこなしかなり怖い橋本麗香とか,下手くそな鳥マネを何の恥じらいもなくやり続ける岸辺一徳とか…)。でもね,そこ止まりで終わっている感じ。5つのエピソードがもっと絡み合ってこないと話に奥行きが出てこない。それで面白みが希薄になる。エンディングもイマイチ。それで終わっちまうのか~,という印象。
実は楽しめたのは,『お父さんのバックドロップ』で超お気に入りになってしまった神木隆之介君をこの作品に発見(!)出来たからかもしれない。神木君,ちょい役ながらこの作品でも良い味出してた。いやあ,『インストール』,早く観たいなあ。原作読んだよ。この小学生役を神木君がやるのかと思うと今からすっげー楽しみ。僕的には,上戸彩にこんな台詞言わせてよいのか,ちょっと疑問だが,上戸彩のファンではないのでどうでもよい。神木君のファンとして観にいきます!(あら,話がかなりあさっての方向に…)

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2004.11.08

2046

新宿グランドオデヲン座。
ウォン・カーウァイ監督。トニー・レオン主演。

1960年代の物語。新聞記者のチャウ(トニー)は,かつて結ばれることなく別れてしまった女を忘れることができず,シンガポールで暮らしていたが,香港に戻ってくる。あるホテルの一室に腰を落ち着けることになるが,売文業で生計を立てながら,夜な夜な女を引き連れ遊びまわる自堕落な日々が続く。そんなチャウは,ホテルの支配人の娘とその日本人の恋人をモデルに『2046』という小説を書き始める…。

ああ,出来れば思い出したくない。この映画を観る前に失敗していたことがあったのだ。
失敗その1:劇場の予告編や公開前にやたらTVで頻繁にやっていたキムタクの番宣に完全にハメられてしまって,勝手に作品のイメージを固めてしまっていたということ。
失敗その2:本作の前編である『花様年華』を観ずに本作を観てしまったこと(これを観るちょっと前にWOWOWでやっていたのを見逃してしまった。僕はレンタルビデオは観ないのでこれは痛かった。)。

その結果,この映画の正体を見極めることが出来た時にはエンドロールだった,という悲劇が起こってしまった。
この作品は『花様年華』から引き続いて張られた様々な伏線を楽しみながら,トニー・レオンの『男の色気』を重厚なムードと共に存分に堪能するための大人の恋愛物語である。だから,
キムタクは本筋とは関係のない全くの脇役,キムタクが出てくる『2046』の未来のエピソードも完全に小ネタと割り切り,あくまで1966年から数年のチャウの女性遍歴の物語と理解した上で観る,
必要があったのだ。なんと大勘違い。おかげで,
1.ラスト近くまで,『2046』へ行ってただ一人帰ってきた男(キムタク)が,もう一度『2046』に行く物語が描かれると思い込んでいた。
2.チャウはなんて自分勝手でジコチューで大人気なくだらしないスケベー(中年)オヤジなんだろうと本気で思っていた。
という印象のままエンドロールを迎えるという悲劇とあいなった次第。

妙に未来の話(おまけにキムタクがナレーションしたりするから日本人には余計に)がインパクト強すぎて,本筋(チャウの話)が曖昧になってしまった感じがする。これなら逆に未来の話はカットした方が良かったのではないだろうか。支配人の娘に小説『2046』(『2047』だったっけ?もう分かんないや)を書き直して,と言われて書き直すシーンがあったと思ったが,あの続きはどうなったんだろう。あれもどっかで否定しておいてほしかったな。あと,チャン・ツィイーが演じる女には徹底的に冷たいチャウ。なぜ?この辺,物語が過去,現在,未来といりくんでいて,時系列が分かりづらいので,その理由がぼやけてる。
いずれにしても,本作は大々的に番宣を打って大劇場で多くの大衆に気軽に観てもらうような作品ではない。ミニシアターでその濃厚な世界を十分承知の上でじっくりと味わいながら観る作品である。そういう気構えが出来ていれば,それなりに見所もあるかもしれないが,デートムービーになんか使った日には目も当てられない。

キムタクは良くも悪くもなかった。豪華な共演陣の中でもそれなりの存在感は出ていたと思うが,前述のとおりキムタクを観にいく映画ではない。僕的には,この作品の上映前の予告で『ハウルの動く城』があり,バージョンが新しくなっていてハウル役のキムタクの台詞が初めて一言だけ聞けたのだが,それが意外と納まりが良かったので,『ハウル,それなりに観れるかも…』と思えた方が収穫だったかもしれない。

『父,帰る』(やっぱりこの作品,褒めてる人いるよ~)で狂い始めた僕の感性に,この作品が拍車をかけた格好。今,溜め込んでいる鑑賞済みの作品のレビューはしばらく愚痴になります。

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2004.11.07

いま,会いにゆきます(原作)

名古屋戦観戦のため名古屋へ向かう新幹線の中で読みました。結局,試合は途中で寝てしまってほとんど観てないので,僕はこの本を読むために名古屋まで行ったことになるな(笑)。

感想。『セカチュー』(原作)より,こちらの方が出来栄えはずっと上です。『セカチュー』(原作)はこの本(55万部)の6倍(325万部)売れているけど,よっぽどこっちの方が読む価値・内容があると思います。特に女性にお薦めです。かなり甘口の恋愛ファンタジーです。
(映画の方は,僕は『セカチュー』が大好きなので甲乙つけがたいのですが…)

映画を比較して,当然ですが,それぞれの心理描写が細かく描かれています。巧と佑司との父子関係や巧と澪との恋愛関係(過去と現在)も細かく書かれていて,感情移入しやすいです。澪の息子を心から愛する母としてのキャラクターも映画より立っています。やはり,29歳の澪が去っていく場面と,巧が真相を知る澪の告白の場面では目頭が熱くなります。澪の『大丈夫よ』という言葉が説得力を持つ理由をじっくりと読ませてくれます(やっぱり!)。あと,僕的には,物語序盤の映画館に巧が佑司を連れていって(巧は病気で入れないので佑司独りで映画を観る),巧が澪のことを小説に書くのに夢中になって佑司のことを忘れてしまい,映画館の前で佑司が泣きながら待っている,っていうエピソードも好きです。巧と佑司の父子愛に胸を打たれ,涙腺がゆるくなりました。

映画はこの原作を当然のように脚色しています。映画は原作の澪の告白のストーリーに加えて,『澪から見た巧との恋愛時代』というサイドストーリーを描いています。これによりより一層,『澪の告白』と巧と佑司への愛情がインパクトを持つ訳です。澪の告白の手段も,『手紙』から『日記帳』になっています。映画の『絵本』で,澪が雨の季節に返ってきて,また戻っていくという話を映像的に印象付けるというアイデアも成功してますね(エンドロールで僕はこの絵本を一生懸命読んでました)。本は『行間を読むもの』です。読み手はイメージがどんどん膨らんでいきます。そういう意味では,映画は原作の既読者のイメージを壊すことなく,上手く脚色し映像化できたと言えるのではないでしょうか。

次は気が早いのですが,年末に公開予定の『インストール』(綿矢りさ)の原作を読みます。あの天才子役・神木隆之介君(彼がこの1ケ月の絶望的な映画生活の唯一の希望の光です)が演じる役は原作ではどのように描かれているか,とても興味があります(その前に芥川賞取った作品の方を読めよ,って話はおいといて…)。


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恋の門

シネマライズ。
松尾スズキ監督。松田龍平,酒井若菜主演。

石で漫画を描く自称『漫画芸術家』の蒼井門(松田)は貧乏をしのぐため見つけたバイト先の会社でOLの証恋乃(酒井)と出会う。恋乃は昼はOLで,夜はコスプレ大好きの同人誌漫画家だった。結ばれそうで結ばれない二人の恋。やがて物語は,かつては売れっ子漫画家で今は漫画バーのマスターをしている毬藻田(松尾スズキ)を巻き込んでの3人の漫画バトルへと突入していく…。

実はこの作品,1ケ月前に観た。鑑賞前の予想は『爆笑系ラブコメ』といった感じで,かなり期待していた。
前半は快調。自分の欲求満たすため(ここが恋愛感情でないところが若い),なんとか恋乃に歩み寄ろうと頑張る門を演じる松田もたかなかのものだが,やはり恋乃役の酒井若菜のはじけっぷりがすばらしい。この映画のキモは酒井若菜という素材の持つ独特の良さをどれだけ引き出せるか,というところにあると思っていたが,『コスプレ』,『コミケ』等のオタク系アイテムを上手く使い面白いキャラ付けが出来ていた。これらのオタク系アイテム,サブ・カルチャー的要素には疎いのだが,素人でもなんとかついていける。テンポも良く,笑える。
だが,漫画バーのマスター,毬藻田が恋乃に求愛するシーンあたりから雲行きが怪しくなる。急にテンポが悪くなり,あまり意味のない『ディープキス』等の美しくない(下品な)描写(これはわざとやっている)に嫌悪感を感じるようになる。漫画バトルに突入するくだりも話が中途半端。ここから物語は一気にスピードアップしてどんどん加速していくような演出なのだが,僕はもうすっかり冷めてしまって,傍観者状態。全然笑えない。そして極めつけが,本当に取って付けたようなラストのエピソード。こんな締め方でいいの?全然笑えない。『終わり良ければ全て良し』という言葉があるが,その逆のような締め方に感じた。正直がっかり。
周りの観客は結構笑ってたので,それなりに面白いのだろう。ただ,狙って作られているのは分かっているのだが,その笑いの質はやはり下品で,総じて僕の趣向から外れている。笑いのセンスが違うのだ。それが残念でもあり,鑑賞後に心の隅に引っかかっていた。それが鑑賞記を1ケ月も書けなかった理由。細かいところで随所に笑える遊び心が溢れているので好きな人は好きと言うだろう。そういう意味では,この作品自体がサブ・カルチャーのようなものと言えるかもしれない。

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2004.11.06

2nd.対名古屋戦,1-2

瑞穂まで行ってきました。
でも,前半序盤であっさり2失点。しかも退屈な試合展開。
『こりゃ今日はあかんわ…』
応援する気力,更には観戦する気力も全くなくなり,11月にしては非常に暖かい心地良い気候の中,前半途中で寝てしまいました(アホ)。観戦記書けません。HFを読むと後半はサンフが『怒涛の攻撃』だった模様。そんなら逆転しとけよ!って。
ハンジェのポスト直撃のシュートのシーンは観ました。あれが入っていたら同点だったわけで,逆にあれが入らないのが実力なのかなあ,などと思ってしまう。
今日の敗戦にはいつもと違って『悔しさ』もわいてきませんでした。なんか淡々としてます。『ほら,やっぱり負けたよ』って冷めた目で見てる感じ。ホント俺どうしちゃったんだろう…。

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2004.11.05

隠し剣 鬼の爪

新宿ジョイシネマ1。
山田洋次監督。永瀬正敏主演。

幕末の東北の小藩の平侍である片桐(永瀬)は,かつて屋敷に奉公に来ていたきえ(松たか子)が嫁ぎ先でやつれ果て病に伏せっていると聞き,嫁ぎ先に乗り込み,強引にきえを屋敷に連れて帰り離縁させる。きえの病気が癒え,片桐の世話をするようになり,貧しい暮らしの中にも明るさが戻った頃,片桐の友人である狭間が謀反を起こし投獄された牢を破る。家老は片桐に狭間を切れと藩命を下す。片桐は藩の剣術指南役から秘剣『隠し剣 鬼の爪』を伝授されていた…。

ここ10本ほどの映画鑑賞で完全に『感性がぶっ壊れてしまった』状態の僕はもうすがるところがなく,新宿の映画館の上映スケジュールを見回し,『これしかない!』という思いでこの作品をチョイス。あの名作の誉れ高い『たそがれ清兵衛』の第2弾とも言える作品。しかし,実は僕は『たそがれ清兵衛』を観ていない。主演の真田広之が食わず嫌いだったのだ。昔,広島で彼が主演の舞台を観たことがあり,その演技のクドさに閉口してしまったことがあったからだ。僕の10倍以上映画好きの友人にして『むちゃくちゃいい。絶対観るべし!』と言っていたが,結局観にいかなかった。だから,『たそがれ清兵衛』と比較することは出来ない。山田洋次監督には特別な思い入れはない。だから,わりと素の状態で観れると思った。唯一の救いは僕が松たか子のファン(笑)ということだけか…。

で,感想。まあ『ささやかな幸せのラストにちょっぴり感動』ってところですか。やっぱり壊れてるよ~,俺~。

物凄くワンカット,ワンカットを丁寧に作りこんでいるんだよね。工夫とか,こだわりとかすごく分かる。時代考証とか,身分制度の解釈だとか,礼儀作法とか,方言とか,刀やら屋敷の中の小物,その他諸々…。カメラアングルやカット割や照明や音の使い方も。例えば,片桐と狭間の決闘シーンでは,『真剣で闘う恐怖』みたいなものがよく演出されていたし,このシーンはバックに音楽なし。刀が交わる音とお互いの息遣いでその緊迫感を表現する。なんと切りあっているバックで鳥が鳴いているのだ。こういうのって凄いと思う。ラストの片桐のきえに対する求愛のシーンは長回しで二人芝居をじっくり観せる。ニクイ演出だ。そういう意味では,間違いなく良い作品だ。でも,何だろう。大輪の花を咲かせたというよりも,小さく巧くまとまったな,という感じ(うー,上手く言葉に出来ない)。何でかな?
役者もそれぞれ頑張っている。永瀬正敏は殺陣も含めて良く頑張っていたと思うし,松たか子は絶妙のポイントでほろりと美しい涙を流すし,脇役の人もそれぞれ総じて良い演技をしていた(注目してたのは田中泯。この人はちょっと前にAERAで特集組まれてて知った。舞踏家なのにどんな芝居をするのだろう,と。なるほど玄人受けがする訳だ)。
では,どこが大感動に至らなかった原因だろう。
まず,大きなポイントは,『片桐と狭間の対決』の話と『片桐ときえの恋物語』の話が,あまり物語の上でシンクロしてこない,というのが挙げられる。片桐が武士社会の中で受ける苦悩とそれに絡むきえの役割があいまいだ。
次に,片桐の設定において下級武士・貧困というところのアクセント付けが希薄で,片桐が上司から受ける数々の理不尽な命令を受けることがいかに身分制度の下において屈辱的なことか(→これが片桐の苦悩や最後の決断に至るのだ)説得力が弱い。禄が下がっても高貴な意志を持つ片桐を役付けしたかったのだろうが,痛し痒しだ。逆に悪役の家老や大目付等はもっと悪人然と描いていいような気がした。必殺の秘剣『鬼の爪』を抜く必然性にも繋がる訳で,ここをもっと作りこんでおけば,『鬼の爪』のインパクトがもっと大きなものになったのに,という残念な思いが強い。『鬼の爪』を抜いたことが,片桐に武士を捨てさせたのだから。

ううー,なぜ批判めいた言葉しか思いつかない。だめだ,こりゃ重症だ。今週末は映画観るのやめとこう。

でも,ラスト,片桐ときえ結ばれることになって本当に良かった。心に爽やかな風が吹いた。エンドロールが流れる中,蝦夷に渡る二人が幸せに暮らせますように,と優しい面持ちで祈っている自分がいた。

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2004.11.04

ターンレフト ターンライト

シネマミラノ。
ジョニー・トー,ワイ・カーファイ共同監督。金城武,ジジ・リョン主演。

売れないヴァイオリニスト(金城武)と貧乏な翻訳家(ジジ・リョン)。二人はアパートの壁一枚を隔てた隣人だったが,お互いの存在も気付くことなく台北で暮らしている。そんな二人がたまたま公園で知り合った。たちまち打ち解ける二人。話題が回転木馬の話になり,そこから二人は13年前の学生時代に一度だけ出合っていたことに気付く。そう,互いに意識しながらも名前すら聞けずじまいで,相手の学生番号だけをずっと忘れずにいた二人はこうして運命的に再会したのだった…。

これ,『いま,会いにゆきます』を観た後,あれほどの映画を観て泣けない自分が不感症に陥ってしまったのではと,絶望的にずどーんと落ち込んでいる状態で続けて観た作品。せめてハートウォーミングなラブストーリーを観て心温まることが出来るかと思いチョイスした。

で,ここまでの序盤はまずまず良かった。二人が交換した電話番号のメモが雨に濡れて読めなくなってしまい,二人がまた離れ離れになるまでは…。壁ひとつ向こうにいる会いたい人にどうしても,どうやっても会えない二人。ここに二人の恋を邪魔する男女のコンビが登場してからは,急速にドタバタコメディ調になっていく。この邪魔者コンビ,アクが強すぎで下品。前半の雰囲気ぶち壊し。主演の二人が下手くそにまで見えてしまう。

これってコメディだったんですか?なんか路線間違えてません?コメディでは主役二人は活きないと思うんですが。

後半もバタバタで終始。二人はそれぞれの道でチャンスを得て,ヴァイオリニストは管弦楽団の奏者としウィーンに,翻訳家は実力が認められてアメリカの出版社に旅立つことになる。旅立ちの夜,もう一度だけと雨で文字のかすんだメモを片手に電話をかけようとするヴァイオリニスト。そこにとんでもない事件が…。
真にこれが『衝撃のラスト』。あの『父,帰る』(かなりお怒りだった)に観せてやりたい。これこそが衝撃。衝撃の結末。あまりの唐突な衝撃の結末に,館内は爆笑(失笑?)の渦。その展開に驚きを通り越してあきれ果てる。でも,こんな終わり方で本当にいいのか,この作品。最後は確かにハッピーエンドだけど,今ふたつくらい煮え切らない終わり方だった。

なにがハートウォーミングな恋物語だよ。傷ついた僕の心はダブルパンチを食らったみたいにぶっ倒れそうにフラフラになってしまった。ああ絶望感が輪をかけて…。しばらく映画不信に陥りそう。ああ,気が滅入る…。
僕はえらい目に遭いましたが,金城武好き(それでも今作の彼はあんまり魅力的ではないけど)の方と,あの『衝撃の結末(オチ)』がどうしても観たいという人は,怖いもの観たさの心積もりでどうぞ。止めはしません。

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2004.11.03

いま,会いにゆきます

新宿コマ東宝。
土井裕泰監督。竹内結子,中村獅童主演。
あの『セカチュー』以上に泣けるともっぱらの前評判の映画。市川拓司の原作小説は55万部のベストセラーとなっている。実は最近,自分の人生でも10年ぶりくらいにたくさん本を読んでいるのだが,この原作はあえて読まずに映画を観ることにした。最近の僕は少しおかしい。妙に冷めている。この作品は先週末公開時に観たが,それまでにここにアップできてない結構な数の映画を観貯めているのだが,『感動』とか『感情の高ぶり』といった心の奥底にグッとパンチのくる映画に出会えていない。『セカチュー』のドラマで毎週のようにボロボロ泣いていたあの僕が…。ここはこの映画に鍵のかかった涙腺を壊してもらって,十二分に泣かせてもらいましょう,という意気込みで観る。

3人の親子の雨の季節に起こる奇跡の物語。父・巧(中村)は脳に障害を持っていて少しだけ不自由な生活を送っている。母・澪(竹内)は1年前に病気で死んでしまった。息子・佑司は小学生で母が残してくれた絵本を大切にしている。そこには書いてある。『雨の季節になったら私は帰ってくる』と。巧と佑司はその言葉を信じている。そして,雨の季節がやってくる。静かに降り続く雨の中,巧と佑司は近くの森の廃工場に出かける。そんな二人の前に,澪が突然現れたのだ。だが,澪は記憶を全て失くしていた。信じられない状況に驚きながらも,約束どおり帰ってきた澪を受け入れる巧と佑司。そこからまた親子3人のつつましくも幸福な生活が始まる。但し,それは雨の季節=6週間だけの幸福だった。絵本には書いてある。『雨の季節が終わったら私は戻らなければならない』と…。
(以下,いつもどおりネタバレ)

驚くほど純粋で透明で清潔で無垢な純愛物語。とにかく悪い人が全然出てこない。巧も澪も佑司も,3人の周りの人々もみんな良い人。そこにはウソなんて存在しない。まるで童話の世界のようだ。だから,澪がなぜ帰ってきたのか,などとは疑問にも思わない。それは約束していたからだ。必然なのだと素直に納得させられる。
澪が記憶を失くして帰ってくるという設定も良い。3人はまたいっしょに暮らし始めるが,澪にはまだ夫婦,親子という感情はない。巧と佑司は,またイチから真っ白の画用紙に同じ絵を描くように澪との人生を振り返り,再現していくのだ。その過程の描写も丁寧でとても綺麗に作り込まれていて美しい。いつも降り続いている雨と森の緑がとても印象的で,心が洗われるような清涼感がある。この作りの丁寧さは明らかに『セカチュー』(映画)より上。観ながら感心した。
巧は澪に二人の高校時代の出会いから結婚,佑司が生まれるまでを語って聞かせる。それは巧の一方的な片思いから始まった。そして,巧は自分が病気になったことを悩み,澪と一度別れようとする。だが,気持ちを断ち切れず,東京の大学まで澪に会いにいく。だが,澪を目の前にしてやはり声をかけることが出来ず失意のうちに帰ることになる。そこで二人の関係は終わるはずだった。だが,ある日突然,澪の方から『会いたい』と電話が入る。そして,二人は再会を果たし,結婚に至るのである。

観ていてここが妙に引っかかった。なぜある日突然,『澪の方から』会いたいと電話が入ったのか。ここが鍵になるような気がした。

だが,物語はそのまま進んでいく。澪は佑司と昔埋めたというタイムカプセルを見つける。中に入っていたのは,巧が恋人時代に自分に宛てた47通の手紙と澪が書いた日記。その日記には驚くべき真実が書かれていた…。
それからより一層,巧と佑司に心を開くようになる澪。妻として巧を,母として佑司を次第に深く愛すようになる。しかし,雨の季節はもうすぐ終わろうとしていた。
そして,雨の季節が終わった。別れの時が来たと悟る澪。学校から佑司が駆けつける。遅れて巧も駆けつける。間に合った。それまでそうしてきたように,巧の上着のポケットの中で手を繋ぐ澪。『あなたの隣は居心地がよかったです』…消えていく澪。

もう劇場の中はすすり泣く声があちこちから聞こえてくる。ここは泣くところだ。でも,僕は泣けない。あまりにも話が綺麗すぎる。それにこんな終わり方ではあまりにストレートすぎてありふれている。あの『鍵』はどうなったのか。そちらの方が気になった。

しかし,澪が去ってから,そこから本当の物語は始まった。やはり『鍵』が重要なポイントだったのだ。あの日,澪の方から『会いたい』と電話をしたのには理由があったのだ。必然,いや運命の再会だったのだ。それは澪の日記を回想する形で澪の視点で語られる。高校時代からの二人の出会いは,巧の一方的な片思いではなかったのだ。澪は巧が澪のことを好きになる前から巧のことが好きだったのだ。記憶を失くした時の澪に巧が聞かせた二人の物語には,実は反対側=澪から観た物語があったのだ。次々と明かされる真実。誠実で真っ直ぐな人を愛するという気持ちの純粋さ。

この二重構造の展開と澪の純粋な愛には素直に感動出来るし,涙を誘う。だが,『鍵』の謎解きが残っている。まだ泣けない。

大学まで会いに来たが,澪に会うことが出来ずに帰ろうとする巧を追いかける澪は事故に遭い意識を失う。
その瞬間,澪は未来へジャンプした。
29歳の雨の季節に記憶を失った自分。自分を妻だという29歳の巧。そして自分をママと呼ぶ佑司。彼らは自分が1年前に死んだと言う。そして,29歳の記憶を失くした自分は,もう一度,巧のことが好きになり,愛するようになり結ばれる。そして,雨の季節の終わりとともに去っていく。
目覚めた澪は悩む。巧と結婚しなければ,自分は若くして死ぬようなことにならない別の幸せがあるかもしれないと。だが,澪は巧と佑司との幸せを選ぶ決心をする。そして,巧に『会いたい』と電話をするのである。

謎は解けた。なんと三重構造の話だったのか。奥が深い。凝った作りに感動を通り越して感心する。泣けない。

そして,全てを悟った澪は,日記に決心を綴る。『巧,佑司,待っていてください。いま,会いにゆきます』と…。

ここが一番涙腺が緩んだ。『いま,会いにゆきます』…こういうところで使われるんだ。たぶん一番泣かせるところだ。でもやっぱり泣けない。なぜだろう。

満開のひまわり畑で巧と澪は再会する。澪は不安げな巧の胸に飛び込むと『大丈夫よ…』とつぶやく。『私達は幸せになるの。全部知っているのよ。』といった確信めいた深い言葉だ。澪の一言一言が胸に響く。

ここもたぶん泣けるところ。でも,それまでの雨のシーンとは対照的な,ひまわりが咲き誇るこの鮮やかなシーンは,巧の回想シーンとは別のアングルから撮られていて,よりひまわりが強調され,二人の幸福感や確かな未来を巧く表現している。その作りの細かさに感心し,逆に泣けない。

そして物語は現在に戻り,18歳に成長した佑司と巧が仲良く暮らすシーンでエンドとなる。

結局泣けなかった。長々書いたのは,俺の涙腺壊れとるんとちゃうか,と自問するためだ。なぜこんな純粋で綺麗な物語を観て泣けなかったのだろう。途中で『鍵』に気付いちゃったからかな。澪が去った後の日記の回想シーンの編集がやや強引で(まあ,あれ以上長くなってもダメだったわけでここは難しい),澪の気持ちに入りきれなかったからかな。自分には妻も子もいないので上手く感情移入出来なかったからかな。いずれにしても自分の感性を正したくなるような嫌な気分だ。

良い映画であることは間違いない。『セカチュー』より作りが丁寧だし,広い年齢層(ターゲットは20代~40代あたりか)に受け入れられやすいストーリーだ。中村獅童の不器用だけれど真っ直ぐで不思議な包容力を感じさせる巧を演ずる演技は褒めるに値するだろう。そして,竹内結子の際立つ独特の存在感。この映画の一番の良いところは,澪に竹内結子をキャスティングしたことだろう。竹内結子の魅力爆発の映画である。色がついてなくて,純粋で,清潔感があって…澪のキャラにぴったりとはまっている。この映画を観て,竹内結子を『いい!』と思わない男が世の中にどれくらいいるか数えたいくらい魅力的だ。カップル向きの純愛物語なのでデートムービーにお薦めだが,鑑賞後は彼氏はしばらく『竹内結子マジック』にかかって間違いなく使い物にならないはず。彼女,注意のこと。あと,30前後で佑司(小学校1年生?)くらいのお子さんがいるご夫婦にもお薦めしたい。きっとお互いのこと惚れ直すと思うから。

純粋な愛。真っ直ぐな愛。そんな愛が過去と未来を交錯し,輪廻する物語。原作はどんな作りなのだろう。今度読んでみよう。


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見よ,飛行機の高く飛べるを

シアタートラム。
作:永井愛,演出:アントワーヌ・コーベ,主演:井川遥
今日は,三軒茶屋のシアタートラムに舞台を観に行ってきた。広島時代を含め,演劇は何回か観たことがあるし,ここには書かなかったけど,東京に来てからは8月末に帝国劇場でやっている『ミス・サイゴン』に行っている。ミス・サイゴンを観に行ったのは,僕が松たか子のファン(笑→『ロングバケーション』の頃からのファンだし,広島では彼女のコンサートにも行っているし,舞台も観た)だったから。チケットが『13,500円!』した。涙出るほど高かったけど,セットは超豪華だし,初めて生で観る本格ミュージカルだし…。本当は堪能せねばならなかったんだけど,役者に感情移入して芝居に入り込むタイプの僕は,台詞の代わりに流れっぱなしの『歌』にどうしても馴染めず途中で退屈してしまい,松たか子が出てるにもかかわらず,なんと途中で寝てしまった。起きたらラストシーン近くで呆然としてしまったという苦い経験だった(だからブログにも書けなかった)。
そんな失敗を経て今日のこの舞台。チョイスした理由は,僕が井川遥のファンだから(爆)。舞台育ちの松たか子の舞台でも寝てしまう僕は,たぶん松たか子より演技が下手であろう井川遥の舞台を最後まで見届けることができるか,というのが今日の最大のポイントだった。
シアタートラムは考えていたよりずっと小さい劇場だった。帝国劇場の次に来たのがここなので,受けた感覚的には真に『芝居小屋』といったもの(定員248人で最前列は撤去されていたから230人ほどか)。おまけに席は前から2列目で舞台との距離は1.5mほどだ。物凄い臨場感。芝居が始まる。役者さんの息遣いも聞こえそうだ。これなら寝ることもないだろう。一安心。
物語の舞台は1911年のある女子師範学校。将来の良妻賢母を育てることを一番の教育目標に掲げ,言論・思想すらも統制しようとする学校教育に異を唱え,自由な教育と女性にも開かれた未来を求める女学生達の友情と挑戦の物語。
舞台も小さいが,セットもものすごくシンプルで女子寮内の壁を背景に椅子が並んでいるだけ。その分,舞台から花道が引いてあり,座席の部分も含めて劇場全体を『ひとつのセット』として物語は進んでいく。この仕掛けは,この規模の芝居を初めて観る僕にとっては驚きで惹きつけられた。服装も現代風にアレンジされており,時代設定を気にせずに物語に入ることができる。また照明もろうそくの明かりだけというシーンが多々あり,自然と役者の表情や動きに集中させられる。この辺の演出は巧い。
井川遥は,師範学校で一番の優等生の光島役。光島は成績も優秀だが,明るく人望もあり,学校のリーダー役で,まさしく未来の良妻賢母という設定。そんなどちらかというと保守的な光島が今の学校教育と女性のあり方に疑問を抱く後輩の杉坂(魏涼子)に出会い,彼女の斬新な思想に共感し,強い友情が芽生えていく。二人の考えに共感し,仲間が増えていく。
前半の井川遥,なかなか良い。2回台詞をミスしたが,あとは長い台詞まわしも無難にこなしている。『大根』にはなっていない。ただ,やはり声量はちょっと足りない。周りの役者も皆舞台慣れして上手いので後半はどうなるか…。
やがて,仲間達で学内誌を作ろうと盛り上がる。しかし,『学内で異性と二人きりで会ってはいけない』という校則違反から,仲間の一人が退学処分を受けてしまう。仲間達は,退学処分の撤回と教育方針の見直しを掲げ,校長にスト宣言する。学校中の生徒の同意を得て結束したように見えた仲間達。しかし,信頼していた女性教師にまさかの裏切りを受け,一人,二人と仲間は離れていく。結局,最後まで残ったのは,光島と杉坂だけだった。
ここまではよい。シーン毎に照明の明暗を上手く使い,奥行きのある表現が出来ている。しかし…。
運動会の日。光島と杉坂だけがストを続け,寮に残って学内誌を作っている。今後についてお互いの苛立ちから言い争いになるものの,仲直りをして学校を退学することになっても女性の解放に向けていっしょにやっていこうと誓い合う二人。
このあたりから井川遥の芝居が『大根』がかってくる。というか,杉坂役の魏涼子がとても上手いので,二人芝居になるとその圧力にどうしても押されてしまう。頑張れ,井川遥。
杉坂が舞台から降りて光島が一人残る。そこに現れるのが,序盤から顔を出している(女生徒達の憧れの的とおぼしき設定の)男性教師・新庄。そして唐突に新庄は光島に愛を告白し結婚を申し込む。舞台暗転。
なんか変な話になってきたぞ。しかし,新庄先生,それまで全然格好良く描かれていなかったので,少々このプロポーズには無理があるんじゃないか。まさか,まさか…。
照明がつく。出演者全員が舞台に広がり,客席に背を向けている。そこに杉坂が戻ってくる。実質的には,光島と杉坂の二人芝居。光島は告白する,『もういっしょにやっていけない。新庄先生に結婚を申し込まれたの』と。しばらく口論の二人。
この辺りの二人のやりとりは,ほとんど棒読み状態。これは意図的な演出と見たのだが。しかし,あんなにさえない新庄先生に求愛されたくらいで,自分の思想や友人をこんなにもあっさり切ることが出来るものか。急に情けない女に成り果てる光島。ここはもっと苦渋の選択というような芝居をさせても良かったのではないか。あっさりしすぎている。
舞台から客席に降りる杉坂。『飛行機が見える』と突然空を指差す。『どこ?見えないわ』と応える光島。『ほら,あそこ』と空を指差し,なんと観客の間をつたってどんどん空へ(劇場的には客席の後方に)上っていく杉坂(これには驚き)。学内誌も自分一人で作ると言う杉坂。『見えない』杉坂が言う飛行機が見えず繰り返すばかりの光島。二人の進む道は大きく分かれてしまったのだ…。

ここでおしまい。最後の杉坂が観客の間を割って上がっていくのにはびっくりした。観客までセットにするか~と。なかなか面白かった。でも,これじゃあ杉坂が主役の物語じゃん。光島,情けないままでおしまいかよ~。
なんでこの話をここまで引っ張ったかというと,なぜああいうラストにしたか,と書きながら考えていた訳で。なぜ杉坂じゃなく,光島が主役なのかと。う~ん,よく分かんないけど,たぶん高い理想を持ちながら,愛情や結婚という世俗に流されてしまう光島=世間一般の人々と位置づけてわざとアンチテーゼとしたのではないだろうか。アンチテーゼたるにはできるだけ情けなくならなければ,世間一般の人々=我々は自戒しない。理想を追い求め続ける杉坂が対照的にマイノリティーとしてヒーロー然として終わるのもそのためだろうか。『理想=飛行機』ということか。それなら光島に飛行機は見えない。
ラストで主張が分からなくなったのは,やはり終盤の井川遥の演技力が足りないと言わざるをえないか。もともと杉坂役の魏涼子の方が上手いのだ。上手い役者によりインパクトある演出(観客の間を割って進んでいくという)で芝居をやらしたら,やっぱりそっちの方が印象に残ってしまうのは当たり前。特に終盤はわざと演出で感情を排して棒読みさせているふしがあるだけに,この辺は演出の難しいところだ。この芝居は今日で二日目であと3週間ある。井川遥には,是非このラスト部分の芝居をもっと咀嚼してもらって,魏涼子のインパクトに負けない芝居を目指して毎日演技してほしい。思ってたよりずっと芝居は出来ていた。だからこそ出来るようになってほしい。

はあ~,長くなったあ。でも,それだけ今日の小劇場での芝居からいろんな意味で感ずるものが多かったわけで。普段はお手軽に毎回が特上席の映画(アングルやアップは自動的に切り替わるわ,注釈のコメントとか入ったりする)ばっかり観てるだけに,『失敗のきかない』生の芝居を前から2列目という極上の席で観られたことは本当に幸運だったと思う。なんか面白そうなものあったら,また観にいこっと。でも,チケット取るのが大変なんだよなあ,東京ってところは…。

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