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2004.11.23

ハウルの動く城

広島宝塚会館1。
宮崎駿監督。声:倍賞千恵子,木村拓哉他。

18歳のソフィーはある日,街で美貌の青年と出会う。しかし,その夜,ソフィーは荒地の魔女に呪いをかけられ,90歳のおばあちゃんに姿を変えられてしまう。家にいられなくなって街を出たソフィーが辿り着いた先は,あの美貌の青年,魔法使いのハウルが住む動く城だった…。

事前のネットでの情報を一切シャットアウトして観た。広島で日曜の2回目の回。『踊る大走査線』や『千と千尋の神隠し』等がそうであったように,この映画館で大ヒットになる作品はビルの外まで大行列になるのが常識。1時間半前から並んで座れなさそうだったら帰ろうと思って行ったら,案外空いてる。開場・上映間際になってもこの広島で一番大きな映画館は満員にはならない。公開2日目でこれでは大丈夫か,ハウル。とか心配してたら,ニュースで『公開2日間で邦画史上最高の興行収入』なんだとか。やっぱり広島人は冷めてる?

まず,みんなの最大の関心事。キムタクの是非について。僕はキムタクに変なアレルギーはないが,結構上手くハウルにハマっていたと感じた。普段スマスマで見るような,ナルナルした雰囲気でやられたらアウトだったけど,そこは良い加減でアクを抜いていて,力みが取れた丸くて優しく耳に入ってくる声色が印象的だった。ベストとは言わないが合格点をあげてもいいと思う。ま,終盤の方はほとんど台詞らしい台詞もなかったのだが。
ソフィー役の倍賞千恵子は上手かったなあ。18歳から90歳まで,様々な年齢の声を演じ分けるのだが,予想に反して違和感を感じない。声優を替えるという手も確かにあるのだが,この映画は幅広い年齢層を狙った作品だし,ソフィーの心情変化をいちばん上手く表現するには,一人がやりきるのがベスト。この狙いに間違いはなかったと感じる。
この作品でいちばんおいしいところを持っていったのは,火の悪魔カルシファー役の我修院達也とハウルの弟子マルクル役の神木隆之介君だろう。我修院は声優一本でも食っていける。このカルシファーは過去の宮崎作品中のキャラの中でも屈指の面白みを持つキャラではないだろうか。神木君は声だけでもやっぱり天才だ。作品中の細かい笑いのツボをしっかり押さえてくれている。それがちゃんとおかしいのがまたうれしい。神木君ファンの僕としてはたまらない至福の時間だった(終盤,台詞がなくなってしまうのだけれど)。
(以下,いつもどおりネタバレ)

さて,物語。ソフィーがハウルの城に住み着き,ハウルとその仲間達と過ごす中で不思議の魔法の世界を体感していく前半部分はテンポもあって文句なく面白い。動く城や各キャラもちゃんと立っていて,分かりやすいし,物語にすーと気持ちが入っていける。だが,それも王室付魔法使いサリマンの追っ手をハウルとソフィー達が振り切り逃走するあたりまで。この後,動く城は引越することになり,魔法のドアの向こうの大草原にソフィーとハウルが出かけるあたりから話がややこしくなる。ソフィーが突然18歳の姿に戻ってしまうのだ。ソフィーの呪いは解けたのか。だが,それは実態ではなく,ソフィーの『意識』の姿がイメージされているのだと気付かされる。これ以降,ソフィーの描写年齢が場面場面で老若ころころ変わる。これには最初は『イメージだ,惑わされるな』と言い聞かせて観ていた僕も,終盤18歳の姿のまま出ずっぱりのソフィーを観るにあたって,『俺,呪いが解けた重大な場面を見過ごしたかも』と気になって物語に集中出来なくなる。こうなるともうプロットが理解できなない。ハウル,ソフィーに向かって『守るものができた。君だ。』って言い残して戦いに出かけていくが,あんた誰と戦うの?ソフィー,サリマンからの追っ手を振り切るためにカルシファーを一度城の外に連れ出し,魔法が解けて城をぶっ壊しといて,すぐカルシファーを城に連れ帰り,『ハウルのところへ連れて行って』って,あんたそれじゃ何で城壊しちゃったの?ボロボロになった城でハウルの元へ向かう途中,城が壊れてソフィーは崖下へ落ちる。気付くと目の前には魔法の扉が。扉をくぐるとそこは,ハウルと行った大草原。草原の向こうには少年時代のハウルが自由の身だったカルシファーと契約を結んでいる(らしい。とにかく観客に想像せよ,という意図的,でも不親切な演出)。ソフィーは二人に叫ぶ,『私きっと行くから。未来で待ってて』と。…これでハウルとカルシファーとの契約の秘密が明かされる訳(のはず)だが,観ている僕にはその秘密とソフィーとの関係が全く分からない。この状態でラストシーンに突入するので,なぜハウルが蘇ったのか,なぜカルシファーは自由の身になったのか,全く理解出来ない。頭の中で『なぜ?なぜ?』という言葉が渦巻き半パニック状態に陥る。相変わらずソフィーは18歳の姿のまま。なぜ…。そのまま物語はハッピーエンドへ。ハウルとソフィー(やっぱり18歳)とその家族達が新しい城(これは宮崎流遊び心に溢れていて楽しい)で幸せに暮らす姿でエンドとなる。

この作品,思った以上に凝っている。画もそうだが,プロットが予想に反して複雑。これでは子供には理解出来ないのではないか。そう考えれば子供向けの『千と千尋』の分かりやすさが懐かしくも感じる。テーマも反戦や老人問題等多岐にわたって,どれが本命か悩む。最大の疑問,『ソフィーの呪いは解けたのか』。終盤,最後まで18歳の姿ソフィーが出続けて幸せを掴むのだが,このソフィーが実は90歳のままで,僕達が見ているのは『意識』のイメージなのだとしたら,この物語は新機軸の立派なファンタジックラブストーリーである。ハウルはそのソフィーのイメージを愛するのだから。だからハウルにはそう見える。ハウルが見えるように僕達も見える。だとしたらすごい。でも,多くの一般大衆にそれを納得させるには,画力も足りないし,台詞も足りない。台詞は意図的にカットしているのだから,やっぱり画力が足りないと言わなければいけないだろう。宮崎作品としては珍しい,マニアックな色合いの作品であるように思う。

とは言え,そういう深読みしたりして観なければ,素直に楽しい作品だし,作品としてのクオリティもとても高い。観て損はない。先にも言ったが,各キャラがすばらしく魅力的だ。欲を言えば,ハウルをもっと丁寧に描いてほしかった。特に終盤部分はハウルの存在自体が消えているのでもったいなかったように思う。もっといろんな魔法を使うハウルでも良かったように思う(後半,ただ飛んでるだけなんだもん)。

さて,この作品で『千と千尋』超えなるか。僕は単純な『千と千尋』並に万人受けすることは少々難しいと診たが,結果やいかに。
よし,他の人のネット批評みてまわるとするか。誰か『ソフィーの呪いが解けたのか』どうか,と『ハウルとカルシファーの契約の秘密』とは何か,を教えて下さい。

追記。この結果,僕の宮崎作品の1位は『天空の城ラピュタ』で変わらず。TVアニメを含めると『未来少年コナン』が文句なしのNO.1。CGアニメ全盛の時代だけど,こういうしっかりした手書きアニメを見ると心和らぐ。日本のアニメ文化に感謝。

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