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2005.05.24

バタフライ・エフェクト

シネマミラノ。エリック・ブレス,J・マッキー・グラバー監督。アシュトン・カッチャー主演。

エヴァン(A・カッチャー)には幼少時代から心神喪失癖があった。突然,ある時点の記憶が欠落してしまうのだ。大学生になり,その病気も影を潜めていたのだが,ある日,幼少時代の日記を読むとなんとその時代にタイムトリップしてしまった。自分の超能力に気付くエヴァン。そうしてタイムトリップを重ねるうちに,自分に過去を変える超能力があることに気付く。エヴァンは少年時代のガールフレンド,ケイリーと再会するが,そのことが彼女の過去のトラウマに触れてしまい,ケイリーは自殺してしまう。愛する彼女を取り戻すために,彼女の人生を書き換えるために,エヴァンは再び日記を手に少年時代へタイムトリップする…。

この作品は面白い。邦画では味わうことができないであろう,アメリカ的味付けの極上のサスペンス・スリラー。ダイヤの原石を見つけたような喜び。この驚きは『SAW』以来かもしれない。多額の予算をかけなくても,プロットだけで魅せる映画の素晴らしさ。久々の快作だ。アイデアがとても斬新で,前半の伏線部分で『このシーンがなんかポイントになるのだろうな』と認識させておいて,そこに予想外のパンチが飛んでくる。『その手で来るか,そう来るか~』と驚きの連続。『過去を書き換えられる能力』,そんな超能力があれば,普通は幸せになるはずなのに,エヴァンもケイリーも友人達も母親も,そんな微妙な『バタフライ・エフェクト』のために幸福から不幸への超絶のジェットコースターに乗せられることになってしまう。

『バタフライ・エフェクト』とは『ある場所で蝶が羽ばたくと地球の裏側で竜巻が起こる』というカオス理論のこと。

真にこの物語はそういう微細な過去の書き換えが人生の竜巻を巻き起こす物語。過去を書き換える度に思わぬ不幸に襲われるエヴァン。あちらを立てればこちらが立たず。誰かが不幸になる。行き詰ったエヴァンが選んだ『最良の選択』とは…。この選択こそ真に人生の『バタフライ・エフェクト』。この切なさいっぱいの選択には心を震わされる。哀愁の選択。この選択がエヴァンを幸福にしたのか,不幸にしたのかは,最後まではっきりとは語られない。

(最後だけちょっとネタバレ)

ラストシーンは,8年後の大都会の街角。無精髭もばっさり剃り,エリートビジネスマン風に成功した社会人と成長したエヴァンは街角でケイリーとすれ違う。そうか,こうして二人は再会して愛が成就するのか。そういう淡い期待を持たす場面。しかし,それはあっさりと裏切られてしまう。二人はお互いのことを気付かない。すれ違い,離れていく二人。エヴァンは幸福な人生を送れているのだろうか。すれ違ってしまった現在のケイリーが幸福であることを願わずにはいられない。彼女の幸福な人生のために彼は自分の人生を捧げたのだから…。

前半の伏線部と第一の過去の書き換えでケイリーと幸福な時を過ごすあたりのテンポがややゆるいので,それだけが欠点。だから『傑作』とまでは言わずに『快作』としておく。ディレクターズ・カット版では全く違う,もっと非情なエンディングとなっているらしいのだが,そっちの方も観てみたいなあ,と普段DVDなど全く観ない僕が珍しく感じた作品だった。さて,DVDリリースはどっちバージョンになるのだろうか。

主演のアシュトン・カッチャーのことは全く知らなかったのだが,なかなか良い演技をする。髭面ではそうは思わなかったのだが,ラストシーンで髭を落とした美青年ぶりに驚き。これからブレイクする俳優かもしれない。

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Comments

山頂の印を踏むのが好きな知人がいて、運動かたがた行ってきたんですが、普通に歩いて登れる山なので、登山と言うほどでは(^^;
たつし さんはアウトドア派なんですね。
キャンプ場でキャンプなんてしたことないです。
でも、登山できなくなったなんて残念ですね。

Posted by: 月の風 | 2005.05.27 at 12:40 PM

月の風さん,ようこそ。いつもお世話になってます。
僕が映画を観れない間,いつも道標として読ませていただいてました。ありがとうございます。ちょっと去年のペースは取り戻せそうにありませんが,ぼちぼちと映画を観てアップしていこうと思いますのでよろしく。
『バタフライ・エフェクト』の話はさておき(笑),月の風さんも登山されますか!僕も,この4年くらいは身体壊して全然行けてませんが,登山が趣味でした。登山口のキャンプ場にテント張って前泊して,翌日山頂を目指していた若い頃(遠い目)が懐かしいです。あの頃を思えば,ただのオヤジに成り果てましたあ(苦笑)。

Posted by: たつし | 2005.05.25 at 10:53 PM

たつしさん、こんにちは。いつもコメントいただき有り難うございます。

最近、知人と山に登っている途中で、バタフライ・エフェクトの話になり、そのとき、ふとゲームのFF8を思い出しました。
この映画、ヒョッとしたらFF8の影響を受けたのかなって。そんな単純ではないと思いますが。

それは、さておき、誰もが持っている「過去を変えることが出来たら」を巧みに利用した面白い映画でした。
しかも、ハッピーエンドなんだけど、ハッピーになりきれていないエンディング。最高です。

アシュトン・カッチャーの「何とかしたい」という祈りにも似た演技がまた物語を引き立てました。

Posted by: 月の風 | 2005.05.25 at 12:47 PM

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