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2005.06.24

ミリオンダラー・ベイビー

品川プリンスシネマ・プレミアム館。クイント・イーストウッド,ヒラリー・スワンク主演。

フランキー(C・イーストウッド)は小さなボクシングジムを経営している。ボクサーのトレーナーとしての腕は一流だが,選手が失敗し挫折することを恐れるあまり,タイトルマッチに臨むことを意識的に避け,そのために有望な選手達は彼の元を去っていった。ジムの雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)はそんな彼の唯一の理解者だった。ある日,マギー(H・スワンク)という女性がフランキーにトレーナーになってほしいと申し込んできた。『女を育てる気はない』とフランキーは相手にしないが,マギーはジムに入会し,練習に打ち込むようになり,スクラップも彼女を応援するようになる。そんなフランキーも彼女の初試合で彼女を受け入れ,マネージャーを引き受けることになる。それからのマギーは負けなしの快進撃。ついに100万ドルのタイトルマッチに挑戦することになった。試合はマギーが優位に進めていたが…。

実は会社に一番近い映画館の品川プリンスシネマだが,会社帰りに観るにはなぜか番組時間が中途半端で,一度も行ったことがなかった。たまたま仕事が暇で定時で帰れた日に初めて観にいくことに。この作品を観ると決めていたが,まさかプレミアム館(椅子とかすごく立派でゆったり観れる)が2500円もするとは…。いや,かまわない。週間文春の映画評で全員が五つ星をつけた『傑作』であろう作品を観るならば。

前半は割と淡々と話が進む。正直,少々眠いくらい。32歳のマギーがプロボクシングに挑戦する。これって,『ロッキー』の女性版?等と少々ツッコミを入れたくなるくらい。しかし,リング上のマギーが自分の予想以上に強く,素晴らしい女性だと悟ったフランキーは思わずリングサイドでゲール語を呟く。『モ・クシュラ』と。この感嘆の呟きがラストの感動に繋がるわけだけれども。H・スワンクはこの作品のために鍛えた筋肉質な身体とその身のこなしから,完璧に『強い』ボクサーを演じている。話は,迫力あるタイトルマッチを頂点に俄然面白味を増してくる。が,しかし…。この作品はボクシングを描いた作品ではなかったのだ。女性版『ロッキー』などではなかった。突然のアクシデントとその後の物語の急展開に,予想を裏切られつつも,ぐいぐい引き込まれる。そう,ボクシングは前振りでしかなかった。ここから語られる後半の物語が,イーストウッドが描きたかった世界なのだ。この後半の表情だけで全てを表現しなければいけなくなったスワンクの演技が本当に素晴らしい。前半のボクシングでの躍動感の両極にあるからこそ,その痛々しい演技が一層際立つ。ここにきて物語は,ボクシングを通じた『師弟愛』から,『父娘愛』,いや『年齢さを乗り越えた対等な男と女の純愛』に昇華するのである。二人の別れ近くの場面で,フランキーは『モ・クシュラ』というゲール語の意味をマギーに伝える。なんと愛情溢れる言葉なのだろう。愛おしい笑顔で応えるマギー。魂が震える感動的な場面。そして,その後にやってくる非情の結末。しかし,二人にとっては約束された結末。しかし,その代償として,フランキーはボクシングを捨てることになる。このラストで提示されるこの物語の真のテーマ(あえてここでは書かない)の評価は難しい。そこには救いはない。受け手によって評価が分かれるだろう。いや,救いはあった。ラストシーン,フランキーとマギーがおいしいレモンパイを食べた思い出のカフェの窓越しに浮かぶ人影…あれがフランキーであってくれたら。いや,そうであってほしい。切なる願い。あのカフェこそが二人の約束の場所なのかもしれないのだから。

直球で感動して,涙ぼろぼろ流して,鑑賞後に『いい映画だった~』などと気軽に言える映画ではない。勘違いしないで観てほしい。僕は『星五つの傑作』とまでは言えない。序盤がダルかったのがマイナスだったし,やはり救いのないラストをがっちり受け止めることができなかったからだ。だが,主役3人の演技はやはり魅せる。うならせるだけの作品であることは間違いない。こういう作品は観ておくべき。

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Comments

月の風さん,こんにちは。
そうですね,確かにずっしりと重い鑑賞感でしたね。生きること,死ぬこと,そういう当たり前の現実に直面している緊張感を覚えさせてくれます。だからこそ,二人が死を選択した時は魂が震えました。

Posted by: たつし | 2005.06.27 at 08:57 PM

こんにちは。
3日連続で映画を観に行ってたので、TB返すのが遅くなりました(^_^;
観終わった後、どっしり重いものがのしかかってきたような感じでした。

Posted by: 月の風 | 2005.06.27 at 12:28 PM

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