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2005.07.26

樹の海 JYUKAI

シネ・アミューズ・イースト。瀧本智行監督。萩原聖人,井川遥,池内博之,津田寛治,塩見三省他出演。

富士の麓に広がる広大な緑の海,樹海。そこはいつの頃からか自殺の名所として知られるようになった。そんな死に場所である樹海に引き寄せられた人々による『生』を見つめた4つのエピソード。

『借金を踏み倒し,樹海に自殺しに逃げた女を追いかけて樹海に入る取立て屋(池内博之)』の話。『公金を横領したあげく,ヤクザに半殺しにされて樹海に捨てられた男(萩原聖人)』の話。『ストーカーだった自分と向き合えず,樹海で売り物のネクタイで首を吊って死のうとする駅の売店の女(井川遥)』の話。『樹海で自殺した女が残した写真に彼女と写っていた男(津田寛治)と彼を探していた探偵(塩見三省)』の話。この4つのオムニバス作品。それぞれの作品で,シーンがクロスしており,関わり合いを持たせているのは,基本に忠実に作っているこの作品の良心だと思う。この作品を観て思ったのは,樹海という題名で『死』をもっとダークに描くのかと思えば,さにあらず。真逆の『生きる』という自然と湧き上がってくる活力を賛美した作品だということだ。それを際立たすためのその舞台を『樹海』としているわけである。その作風はシンプルで嫌味がない。とにかく基本に忠実だ。それじゃあ面白味がないじゃないか,というところで,『樹海で自殺した女が残した写真に彼女と写っていた男(津田寛治)と彼を探していた探偵(塩見三省)』の話が効いてくる。このエピソードだけが,舞台を樹海にするわけでもなく,街の居酒屋で二人芝居で展開される。『死』なんて考えてもいなかった普通のサラリーマンが,かつて自分が知り合った女性が樹海で自殺したという話を聞かされて,俄然『死』が身近に迫ってくる。そして,探偵と話しを進めるうちに『生』についても深く考えるようになる。この樹海から最も遠い場所でのエピソードが,一般の人々にはごく当たり前の『生きる』という生命力をよりクリアにしてくれ,更に他の3つのエピソードの持つ味わいを深める役割を見事に果たしている。この辺は脚本も兼ねた監督のセンスの良さが出ているところだと思う。他の3つのエピソードも,細かいところまで気遣いが効いている。それぞれの俳優も良い演技だ。

傑作とまでは言わない。でも,つまらなくもない。それでいて,『生きている実感』を脈々と感じさせてくれる優しい雰囲気に包まれた不思議な作品だ。樹海の多面性を持った色合いがとても美しく撮れており,意外に癒されたことも追記しておこう。

上映後に,瀧本監督と井川遥のトークショーがあったのだが,この瀧本監督はマジメな人で,自分の『初監督作品』に対する思い入れをたっぷり語ればよいのに,15分間フルに井川遥を持ち上げていた。そこまでしなくてよいのに(笑)。基本に忠実で王道の映画を撮る良識ある才能の持ち主だと,この映画を観て僕の頭に刻まれましたよ。

最後に,本当はこれが目当てでこの映画を観た井川遥はとても綺麗でピカピカ輝いていて,足元が数センチ浮いているように見えた。真に女神!(って,俺だけ?)。ああ,東京に来て良かった~~(アホ)。

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