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2005.09.03

サヨナラCOLOR

ユーロスペース2。竹中直人監督。竹中直人,原田知世主演。

ある春の日,海沿いの病院に勤める医師・佐々木正平(竹中)の元に,高校時代の同級生・笈川未知子(原田)が入院してきた。彼女の病名は子宮がん。そして,その病状はおもわしくなく,手術も不可能な状態だった。だが,正平は諦めない。自分の命に代えてでも,未知子の病気を治してみせると誓う。だが,未知子は正平が高校時代の同級生だと告白しても,どうしても当時の正平を思い出すことはできなかった。かみ合わない二人の関係だったが,やがて共に病と闘ううちに,次第に心が通じあうようになって…。

まず,鑑賞後の感想…惜しい。正平のキャラ設定や人間関係(愛人や援交している女子高生までいる)や,も27年も一人の女性を想い続けて諦めきれない心情が,何よりも人間味があってとても温かい。医者として,というよりも,ひとりの男として,愛する女性を病魔から救おうとする,妙に人間くさいヒーロー。その人格は多面性があり,とても複雑で面白味がある。それ故に正平に対して観る側は感情移入しやすいのかもしれない。しかし,僕は乗り切れなかった。なぜか。正平がなぜ27年!も未知子のことが諦められなかったのか,その説明が欠落しているからだ。ひとつでも,それまでの間の正平の気持ちの揺れ(いや,揺るがなかったこと)を台詞だけでもいいから匂わせるところが物語序盤に欲しかった。なぜ,未知子にこだわるのか,その説明が欲しかったような気がする。正平の純愛の対局として,未知子の恋人・雅夫が描かれている。その意図は分かる気がするが,出来上がりはやや空振り気味で,逆に雅夫のエピソードがあっさり描かれていた方が,正平と未知子との心情関係がより鮮明に浮かび上がったのではないだろうか。

それでも,薄味ではあるけれど,それぞれのエピソードはきちんとした意図と思い入れがあり,丁寧に作られており,安心して観ていられる。そのエピソード毎の繋ぎがやや工夫が足りなかったかな,という印象。正平が女子高生の前で(未知子の手術が成功して)嬉しそうにバレエを踊るシーンなどはユーモアも兼ね備えたなかなかの秀逸な場面だと想う。一番素晴らしいと感じたのは,正平と未知子が二人で始めて海に行く場面。浜辺に座って,会話する二人。未知子は正平に『私,今から先生を信じて50年生きる。そして51年目で死ぬわ』と生きる決意を宣言する。この長回しのシーンの二人の後ろの空の青さが素晴らしく澄んでいて,そして流れる雲の美しさがトドメを刺す。とても良いテイクだった。

(以下,ネタバレです)

残念だと想うことは,正平が未知子の看病に必死になるあまり,自分の病気を悪化させ,未知子の余命と引き換えとなるように命を落としてしまうことだ。『自己犠牲=無償の愛』の単純な図式ではないとは理解できるが,それが逆に感動を軽くしてしまってはいないか。ラストシーンで,未知子は正平と二人分の命を精一杯生きると決心するが,きちんと正平が隣にいて,二人で生きていくエンディングの方が幸せなのではないだろうか。竹中監督流の『愛の形』が描かれて,それなりに感動を誘うわけだが,僕はもっとさっぱりしたハッピーエンドでも良かったのではないかと感じる。

原田知世は僕と同世代。『時をかける少女』からもう20年以上経つが,今でもその清楚で可憐な美しさは変わらない。どうやったらこんなふうに上手く年をとれるのだろうと不思議に感じる存在。この作品の良心は,一環して原田知世演じる未知子を正平にとっての『マドンナ』として,嫌味な演技を一切させなかったこと。だから,独りになっても生きていける強さを学び備えた未知子を,ラストシーンで僕達は素直に応援できるのだろう。

ファンタジックラブストーリーであるが,その『ファンタジー』な部分の味付けが,やや工夫が足りなかったかもしれない。でも,なんだかんだいいながら,そこそこ感動できるし,後味は良いので,デートムービーにはお薦めだ。

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