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2009.01.28

誰も守ってくれない

広島宝塚。君塚良一監督。佐藤浩市,志田未来主演。

ちょっと期待していたんだけど,肩すかしを食らったような気分だ。もっと奥深いテーマを内在した作品だと考えていたが,意外と底が浅い。加害者の妹が受ける仕打ちにしても,敵が『マスコミ』とか『ネット』とかステレオタイプで描かれているだけで,深みが全くない。志田未来が抜群の演技で泣いたりわめいたりするのだが,ただそれだけである。こちらには何も伝わってこない。主人公の沙織がこんなだから,これに絡む刑事,勝浦との交流にも深みがない。本当に予告編が全てのキモを表していて,それ以上何もない作品だった。総じて演出が下手。この作品のどこがいいのか,僕にはさっぱり理解できない。加害者の側も,被害者の側も描かれ方が中途半端なんだな。真面目に観たつもりだったのにとても残念だ。ただ佐藤浩市はいい役者になったな,とは思った。僕には合わない作品だった。

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青い鳥

サロンシネマ2。中西健二監督。阿部寛主演。

いじめ問題に真正面から斬り込んだ社会派作品。同じ『いじめ』をテーマとしていても,『リリイ・シュシュのすべて』と比べると,こちらの方がよほど本道である。主張もはっきりしている。『実際のいじめのシーンは一切ない』にも関わらず。ここがこの作品の素晴らしいところだ。

物語はいじめによって生徒が自殺未遂を起こした中学校の新学期から始まる。自殺未遂を起こした生徒はもう転校してしまっていない。クラスの生徒達は『事件を忘れよう』としている。そこに現れた吃音の代理教員。彼は生徒達を諭す。『忘れるなんてひきょうだ』,『本気の言葉は本気で聞くべきだ』と。

吃音で話される断片的な言葉,単語がそれ故に余計に心に突き刺さる。例えば,『責任』という言葉。『生きていく上で人が負うべき責任』の大切さをこの代理教員は問う。それはもう単なる『いじめ』問題ではない。大人にも通ずる社会全体への問題提起だ。

事件を過去のこととして封印しようとする他の教師達と代理教員とを対峙させることで,どちらが『人』と向き合う上で正しいことかを鮮やかに浮かび上がらせている。その手法は技法的にはやや下手かもしれないが,正統派であり,王道のようにどっしり構えていて,その主張はゆるぎないものになっている。

その吃音の『本気』の言葉の真意が届いた生徒,教師がいる一方で,届かなかった生徒,教師がいたことにも注目したい。これが社会の縮図なのだ。気付かなかった生徒達も間違いなく大人になる。そして,気付かなかった教師のような大人になって,都合のいい方便を使うのだ。そういう意味ではこの作品の問題提起はとても奥深い。

そして,この代理教員も,おそらく『本気の言葉』の意味に気付けなかった暗い過去を持つことも。それ故に『本気の言葉』を話し,『本気の言葉』を聞き取れるようになったであろうことも。

主演の阿部寛も凄いが,それと正面切って堂々と演じる本郷奏多も凄い。二人の演技にも魅せられる作品になっている。

低予算でも,こんなにメッセージ性の深い,凄い作品ができるのだ。だからミニシアター通いは止められない。この作品に出会えた幸運に感謝したい。

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2009.01.27

007 慰めの報酬

広島ルーブル。マーク・フォースター監督。ダニエル・クレイグ主演。

ハードボイルド・アクション大作。本当にアクションシーンの連続で満載。それも『痛い』アクションなんだな。邦画の『K-20』あたりと比べると,完成度と金の掛け方が全く違う。『本物』って感じ。ただ,『K-20』の方が建物を飛び越えていくシーンはスマートに撮れていた。まあ,これは指向性の違いだろう。どっちが悪いというものではない。

とにかくD・クレイグが渋くて超格好いいのだ。これまでの女ったらしの007の主役達とは一線を画する。僕は前作『カジノロワイヤル』を観てなかった(この作品が続編として作られていのを知らなかった)ので,物語の骨格の部分の『復讐』というところが掴み切れなかったのが残念。前作を観てから鑑賞されることをお勧めする。

結構真面目に作られていて面白い作品だ。アクション映画としては一級だと思う。ただ,ボンドカーには何の仕掛けもないし,秘密兵器は出てこないし,そういう007は一方では寂しいとも思う。アクションと遊び心とお色気が007の魅力で歴史でもあるから。

でも,D・クレイグがボンドをやる限りはとことんハードボイルド路線を突っ走ってもらいたいものだ。真面目にアクション大作路線を貫いていってほしい。

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2009.01.26

ぐるりのこと。

シネツイン本通り。橋口亮輔監督。木村多江,リリー・フランキー主演。

久々の邦画の傑作だと思った。それくらい自分の口に合った作品だった。鑑賞感がとてもよく,2時間20分の尺の長さを感じさせない作り込み。僕は完全に主人公の翔子とカナオに感情移入していた

木村多江演じる翔子は,子供を亡くしたことで精神を病んでしまう役柄。リリー・フランキーは,そういう病んだ妻をただそばに寄りそうことで力強く支えていく法廷画家の役柄。物語は,夫婦の絆を描いたパートと,その時代(90年代)の病んだ社会の法廷シーンのパートとを相対して描いている。このコントラストも絶妙。カナオの仕事が法廷画家というのも効いている。被告と被害者の心情をくみとりながら,それを消化し,客観的に法廷画にする仕事。この仕事をしているから,カナオは翔子の気持ちを理解し,支えることができたのだと思う。木村多江とリリー・フランキーの演技はまるで素の本人を観ているような錯覚を感じるほど自然で良かった。おかげで作中にぐいっと引き込まれた。

一番の見どころは,中盤の,お互いの心の内をぶつけ合い,その結果,ようやく深いところでお互いを理解し,心を通わすシーン。これはおそらく10分くらいの長回しで撮られており,真のこの作品中のキモであった。このシーンがとてもよく撮れていたので,その二人の再生していく姿に素直に感情移入できた。この後,二人が特に翔子の病気について格闘する姿は意図的に省略されている。ただ,お互いの心の壁を乗り越えて二人が深い絆に支えられて,信頼感を深め,次第に翔子の病気も快方に向かっていることは,『カレンダーの×印』(二人の約束事のサイン)が増えていくことで隠喩されている。ここまでたどり着くのに,二人は相当の苦労をしたのだろうと予想する。僕はあえてそこを説明くさく描写していない手法がとても好きだ。『お互いのことが好きだから』,『当たり前にすぐそばにいる』ことで支え合って病気を乗り越えた二人に拍手したい気分だ。翔子が絵を描くことに希望を見出し,再生していく姿は素晴らしく瑞々撮れている。翔子がい笑顔で絵画に取り組んでいる姿と,書きあげた天井画を夫婦で寝そべって見上げるシーンがとてもいい。観ているだけでこちらも元気な気持ちになるし,夫婦の深い幸せを感じることができる。

『ただ寄り添い生きていくことでお互いの愛を確かめ合うことができる二人』の純粋な絆と愛を過剰な演出を図ることなく,さりげなく描ききった橋口監督の力量は称賛ものだ。本当にこの鑑賞感の良さは特筆もの。観た後に幸せな気持ちに素直になれる作品だ。是非多くの人に観てもらいたいお薦めの作品である。

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2009.01.23

09サンフレッチェ始動

昨日からチームが始動。
体調不良で不参加の浩司と,別メニューの下田と森脇のコンディションが気になるが,まずは大きな怪我人もなく,主力が揃って始動できたことは喜ばしいことだ。

今年のチームの目標は『ひとつでもタイトルと獲ること』だが,まずは足場を固めていってほしい。それはやはり『守備の安定』。昨季のように失点がある程度防げたら自然と順位はついてくる。今のDFのメンバーでJ1で通用するのか,チームマネジメントが問われるところである。希望としては,イリアンをリベロに,右に森脇,左に槙野でいきたいが…果たしてJ1の屈強なFW相手に通用するのか。通用してほしいと願うしかない。ここでも,鍵となるのはカズの働きだろう。カズにはバランサーとしての役割はもちろん,得点も期待している。マジに代表を狙ってほしい存在だ。

中盤はレギュラー争いが楽しみ。その中でも,期待は洋次郎と陽介の二人。洋次郎は昨季の活躍が『J2だから…』と言われないような大活躍をJ1でも望みたい。洋次郎がJ1でも通用するようなら,今年も昨季のように『ボールも人も動く』魅力的なサッカーが観れることだろう。そして,今季,最も真価が問われるのが柏木陽介である。サンフレッチェの『10番』を背負うこの男が1年を通じてハイレベルで活躍できるなら,このチームはもっと高いレベルに行ける。得点とアシストの数にこだわってほしい。その先に目標とする日本代表が待っている。洋次郎と陽介には是非代表争いに絡んでほしいと思うし,そうでないとサンフレッチェはタイトルには手が届かない。

そして,FWは寿人。是非クラブ記録であるハシェックの19ゴールの記録を塗り替えるくらい大活躍してほしい。寿人ならJ1でも通用する。そして代表のレギュラーも勝ち取ってほしい。

目指すは昨季のような『ボールも人も動く,人の心も動かすサッカー』の再現。今まで日本のどのチームも到達しなかった異次元のパスサッカーでJ1を制圧しようではないか。『夢を現実に』。それが今季のチームに僕が望む合言葉だ。

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2009.01.20

アジアカップ最終予選 日本対イエメン 2-1

前半の終盤から観た。

このメンツだとこういうサッカーになるわなあ。まあ勝ててよかったよ。

岡崎いいねえ。だんだん怖いFWになりつつある。代表にかなりフィットしてきた印象。これだけできれば戦力になるでしょ。田中達也も相変わらずいい。ああいう汗かきタイプが代表の前目には必要。中村憲剛と共にテンポを作ってた。興梠も悪くはないんだけど,サンフを観慣れていると,ワントップはやっぱり寿人の方が上だと思うけどなあ。これは岡田監督の判断次第だけど。寿人は代表でもきっとやってくれますよ。

逆に途中交代の乾と金崎には少しがっかり。自己アピールに走り過ぎていて,チームプレーができてなかった。香川も60分しか持たない印象。攻めでボール持った時しか輝かないんだからチームとしてはプラマイがある感じ。いずれにしてもオプションとして考えるべきだろう。松井の方が上と診る。

さて,オーストラリア戦まであと2試合。海外組が合流したらどういうメンツになるのか。高さのあるオーストラリア相手にはCB二人が鍵になる。誰が入るんだろう。SBは右は内田,左は長友だろう。ボランチは遠藤と誰か。トップ下3人は左から松井,田中達也,俊輔か。ワントップは玉田だろう。ホームでは是非勝っておきたい。引き分けではダメだ。強いメンタリティが試される試合となる。1位通過で堂々と南アフリカへ行こうじゃないか。

個人的には,今年は代表ででもサンフの選手が活躍するところを観たいものです。

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2009.01.19

前田俊介,大分へ完全移籍

ついにこの日が来てしまったか。

広島ユースが生んだ巨大なる才能,開花半ばで広島を去る。

インパクトが大きいゴールが多かったので,そのゴール数以上に印象に残っている。止められても,止められてもドリブルで挑んでいくその姿に感動した試合もあった。

あの巨大な才能が開花できないまま埋もれていってしまうのか。ミシャの下ではたぶん使われなかったろうから,大分に移籍した方がよかったのかもしれない。ただ,広島でその才能を開花できなかったことはとても悔しいし残念だ。課題はひとつ,オフ・ザ・ボールの動きを磨くこと。まだ化ける可能性は残っていると考える。僕は俊が大好きだ。きっとその巨大なる才能を大分で開花させることを信じて,その背中にエールを送る。頑張れよ,俊!

巨大なる才能を綴った日記です。

http://tatsushi-sanf.way-nifty.com/sanf/2004/10/post_3.html

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2009.01.18

人のセックスを笑うな

WOWOWビデオ観賞。井口奈己監督。松山ケンイチ,永作博美主演。

一言で言うと,『鑑賞感の悪い作品』である。独特の『間』が僕の口には合わなかった。長回しが多用されているのだが,その中で演者が芝居に入りきれていないような気がする。そういう落ち着きの無さがこの作品の鑑賞感を悪くしている。

おまけに作り手が何を伝えたいのか,そのメッセージが全く分からないし,読み取れない。自分の倍も歳の違う既婚女性に振り回される若者の姿が淡々と長々と撮られているだけの作品である。そうとしか,言い様がない。

松ケンに永作博美,蒼井優など,旬の役者を使っておきながら,なんとも勿体ない作品である。

ちなみに僕はこの間延びした鑑賞感に堪え切れず,劇場公開の時は,人生で初めて上映途中の1時間で席を立ったほど。今回,最後まで観て評価が変わるかと期待したが,最後まで観ても何も変わらず。

とにもかくにも,『鑑賞感の悪い作品』であった。

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2009.01.16

ビッグアーチに毎試合2万人動員すること

やっぱりアクセスの問題が一番大きいネックになりますね。現状のアクセス対策では無理でしょう。
僕は昨季からクルマで行くのは止めて,横川からのシャトルバス使ってますが,あれがもっと増便しないと無理でしょう。日本平みたいに,バスをバンバン出して回さないと。それがバス会社との問題で難しい現状では毎試合2万人動員は無理でしょうね。
だいたい3万人入ったら周辺がパニックになるスタジアムですよ。まずはそこを改善しないと。

今でも思い出すのが,ビッグアーチで初めてあったヴェルディ戦(4万人くらい入ったんだったっけ)の帰りの出来事。あのシャトルバス乗り場の修羅場の中で大きな怪我人が出なかったことが不思議です。僕はあの惨状がトラウマになっています。が,今ならもっと上手く運営できるノウハウが蓄積されたはず。もう一度,パークアンドライドに戻る時が来ていると思います。

あれだけサポカンの時にいろんな意見が出ても,『バス会社の問題で難しい』との説明に終始している現状では,毎試合2万人動員なんてのは夢の話だと思います。なぜ清水に出来て広島にできないのか。そのあたりをしっかりと分析してほしいと思います。

臨時駐車場もワンコイン有料にすればよいのです。その分をバスの増便にあてればいい。経費がかかることをクラブには言い訳にしてほしくないと思います。

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2009.01.15

広島皆実,優勝!

皆実の守備,強かったね。中盤圧勝。インターセプト連発だし,セカンドボール拾いまくりだし。ボランチ2人が効いていた。DFラインも高く押し上げ,コンパクトなゾーンで勝負してた。ボールを奪取したらすばやくパス展開。そのリズムがテンポよく気持ちいい。とにかく前への展開力が速い。これは強いわ。

鹿児島城西の大迫勇也も素晴らしい選手だった。懐が深いボールキープ,ドリブル,シュートの振り足の速さ。本物だわ。先制された時は『大迫勇也の大会か』と思ったけど,すぐに同点に追いつけたのがよかった。しかし,鹿児島城西は守備がザルだったねえ。あと大迫に頼り過ぎた感はあるかな。

ユースを観だすようになって,高校選手権にあまり関心がなかったのだけれど,やはり広島が優勝するというのは嬉しい。ホイッスルの瞬間はテレビに向かって雄たけびをあげてた。高校生のサッカーはまだ未完成なところがまたいいんだよね。

今年のプリンスリーグが楽しみ。今年は何試合か観戦に行こうっと。

でも,この年代の頃の俊はもっと凄かったな,とちょっと寂しく思う自分もいるんだな。俊は大分に移籍するんだろうか…。

とにかく広島皆実,優勝おめでとう!

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2009.01.12

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー

TOHOシネマズ緑井。ギレルモ・デル・トロ監督。

アメ・コミのヒーローモノの続編。ちなみにPART1は観ていない。が,そんな客層でも敷居が低いのですんなりと世界に入り込めるのが良心的な作りだ。

魔物でありながら,人類を救うために働くヘルボーイとその仲間達と,彼らをあくまでも『異形の者』と扱う人類の対比は,同じ人類でも人種の壁を越えられずに戦争ばかり繰り返している人類への警鐘でもある。

見せ場はVFXとワイヤーアクションを組み合わせたアクションシーンで,軽快に,爽快に仕上がっている。欲を言えばもっともっと観たかったと思うくらいだ。

人間チックなところもあって,ヘルボーイとエイブがラブソングを歌うシーンなんかはぐっときたいいシーンだった。PART1を観ていないので,リズとの恋人関係が今イチピンと来ていないので,二人の関係に素直に感情移入できなかったところが惜しいところか。

ダークヒーローをポップな味付けで軽快に魅せてくれる娯楽作。ハッピーエンドだし,気軽に楽しむデートムービーに良いかも。ダークな展開になりそうな続編もありそうなので,これは是非観たい作品だ。

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チェ 28歳の革命

TOHOシネマズ緑井。スティーヴン・ソダーバーグ監督。ベニチオ・デル・トロ主演。

カストロと共にキューバ革命を成し遂げたエルネスト・チェ・ゲバラの伝記映画。前後編2部作の前編となる。

物語は,キューバ革命戦争の流れと,革命達成後の国連総会での演説シーン(これを意図的にモノクロで描いている)を対比させながら進んでいく。が,なぜキューバ革命が起こったのか,とかカストロやゲバラが革命をどう捉えていてか,という説明的な描写は圧倒的に少なく,その辺の背景がゲバラについて知識がない僕のような者にとっては不親切な作りとなっている。

国連総会前後のゲバラの言動を描くことで,カリスマ性を持たせようとしているが,その試みはやや失敗しているように思う。それは,戦争の描写の中で,ゲバラの内面がほとんど描かれてないからだ。戦争の流れの中で,次第に司令官的役割を果たしていく姿が淡々と描かれ過ぎていて,なぜ彼が英雄視されるのかが説得力に欠けている。戦時中のどちらかといえば控え目で自己主張をしない姿と,国連総会で演説する強気な姿が同じ人物とは思えず,断絶している。なぜ彼がカリスマなのか。その説明の描写が圧倒的に足りないと感じる。だから,革命の達成を目の当たりにしても,感動はやや薄い。これもこの戦争の目的というものが説明的に描かれてないからだろう。

ゲバラの内面の葛藤をもっと描いてほしかった。その中でカリスマへと変貌を遂げていく姿が感じ取れれば,深い感動を味わえたかもしれない。その辺は彼の理想が現実に飲みこまれていく後編で泥臭く感じることができるのだろうか。

いずれにしても,前後編2部作の前編である。後編を観てから,全編の評価をしたいが,この前編を観て,『後編が今すぐに観たい』と強く思わせるほどの出来でもないと感じた。そこは残念でもある。

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2009.01.03

リリイ・シュシュのすべて

DVD鑑賞。岩井俊二監督。市原隼人主演。

ずっと観たかった作品だったのだが,やっと観れた。作品に関する前知識は全くない。が,思い入れが深かった分,正直,この作品をどう評価していいのか分からない。

思春期の,壊れやすいガラス細工のような繊細な心を持つ若者達の心情を描いたものなのか。それとも,思春期の少年少女の立ち位置の危うさ自体を訴えたかったのか。

ネットでの繋がり,万引き等の少年犯罪,援助交際,いじめ,等,思春期の子供達の存在する世界に実際に起こりうることが,シビアに長々と描かれている。では,岩井監督は2時間半にも及ぶこの作品で何を訴えたかったのか。そこが分からない。生き残った者と死を選択した者,そして突然生を閉ざされた者。この三者が描かれるのだが,それぞれの役割というか,メッセージというものが今ひとつストレートに伝わってこない。そういう意味では難解な作品である。

それとこの作品を観て思うのは,『大人目線』で描かれていることだ。実際の思春期の少年少女達はこの作品を観て自分達の物語だと共感できるのだろうか。僕にはとてもそうは思えない。そんな『目線』のブレが,この作品の評価を難解にしているのかもしれない。

主人公にとっての『リリイ・シュシュ』が果たす役割自体もピンとこない。ネットで心を交わしていたはずの相手が,実は自分のリアルな生を脅かしていた人物だったというくだりは初めから読めたのだが,それでなぜあんな衝動的な行動に主人公が最終的に走ったのか。それと『リリイ』との関係はどうなのか。そこが全く上手く描き込まれておらず欠落している。DVD鑑賞という集中できない環境で観たという点を差し引いても,人の生と死をテーマとして扱うならば,この作品を思春期の少年少女達に観てほしいと考えて作った(もちろん意図的に大人向けに作ったとは考えられるが)のならば,そこには理解しやすい解答がなければならないと僕は考える。思春期の少年少女達の持つ問題だけをバラまいて,それがパズルとしての解答がないというのでは,全く救いがないではないか。

とは言え,ラストシーンでは,『生を選んだ者』同士が対峙しそうな予兆を漂わせながら終わっている。そこから解答を探せということかもしれないが,僕はこの終わり方が今ひとつ理解できない。というか,この中途半端な終わり方が嫌いだ。何度も言うが,『解答』が示されるべきだったと思う。意味のない『生』も『死』もないと考えるからだ。そういう意味ではこの作品は2時間半も使いながら中途半端な作品である。

この作品も,市原隼人や蒼井優など,今の二十代前半で活躍中の俳優・女優が,ダイヤの原石の煌きを魅せてくれる作品であるので,そういう意味では貴重な作品だと言える。ただ,この作品の魅力は唯一その一点だけとしか考えられないのが,観る前の思い入れが深かった分,惜しいところだ。

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エターナル・サンシャイン

DVD鑑賞。ミシェル・ゴンドリー監督。ジム・キャリー,ケイト・ウィンスレット主演。

喧嘩別れした恋人同士のお話。彼女は彼のことを忘れるために,彼との記憶を全て消去してしまう。彼はそのことにショックを受け,自分も彼女の記憶を消去しようとするのだが…。

冒頭のエピソードが大切。ここが真にキモである。ここを軽く観逃すと後で後悔することになる。

記憶を消去するクリニックの面々も加わって,物語に厚みを上手く出している。そして,後半のどんでん返しの展開に繋がっていくのである。この脚本は良くできていると思う。

記憶が消去される順番も,最近の喧嘩続きだった毎日から,だんだん過去に遡って,幸せの絶頂だった頃へ。そして,運命の出会いの日へと続いていく。彼はもがく。彼女のことをやはり忘れたくないと。

だけど,抵抗もむなしく,彼女の記憶は消去されてしまう。だが,それでも,記憶の残像を辿って二人は再会し(ここが冒頭のシーン),そして再び惹かれあう。だが,通常ならそのままハッピーエンドなのだが,この物語ではもうひと捻りあって…。この捻りがまたたまらなくいいのだ。

大切な人との運命の出会いというものは約束されていて,その第一印象は決して揺るがないものだとこの物語は教えてくれる。二人は記憶を失くしたことで,お互いの欠点が気になり喧嘩ばかりしてたことを飛び越えて,第一印象の直感で感じたことの大切さに気付く。それは運命の出会いだったと。この人こそがかけがえのない大切な人なのだと。その愛の絆の強さに拍手したくなる。これは恋愛関係の難しさを描きながら,実は純愛の物語である。100%ピュアなラブストーリー。この物語を観ると,きっと恋がまたしたくなる。そんなハートフルなラブストーリーだった。これもなかなかの佳作であると感じた。

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2009.01.02

ロボコン

DVD鑑賞。古厩智之監督。長澤まさみ,小栗旬,伊藤淳史,塚本高史主演。

長澤まさみがセカチューでブレイクする前のアイドル映画である。しかし,今となってはドラマの主役級を張る4人の豪華顔合わせの作品でもある。ダイヤの原石達がキラリと輝く瞬間を垣間見られる貴重な作品となっている。

物語の構成は至ってシンプル。ロボットコンテスト=『ロボコン』に参加することになった性格も意見も合わない四人が,『ロボコン』を通して次第に心を通わせ,真の友情を築き上げるというもの。ベタの王道ネタである。これは『アイドル映画』なのだから,小難しいことを言ってはいけない。そういうシンプルな筋書きを受け入れるべき作品なのだ。

が,そこをシンプルに描いているので素直に共感できるし,変に脚色していないので飲み込み易いのだ。これでいいじゃん,って感じ。『ロボコン』の試合自体の面白さも加わり,割と楽しい仕上がりになっている。とにかく好感が持てるのだ。それは,主役四人の魅力があるからに他ならないのだろうけれど。特に小栗旬,シャイな役柄の中でいい味出してたねえ。

長澤まさみも可愛さ満点。やっぱこの頃とかセカチューの頃が一番輝いていたよ。同じアイドル映画でも『隠し砦の三悪人』は最悪だったから,東宝は一体長澤まさみをどう育てたかったのか,と大文句を言いたい。女優として伸び悩んでいる今の長澤まさみを再度輝かせるには,彼女の持つ華やかさと明るさを活かす作品を与えてあげたいと思うのだが。シリアス路線は,ドラマ『ラスト・フレンズ』で失敗しているのだし。

話は作品に戻って,反発しあってた四人が,お互いに小さな声で『ありがとう』という台詞が何度も出てくる。この『ありがとう』というさりげない台詞が効いている。お互いの心がぐっと近づくのを本当にさりげなく,且つ印象的に表現していて,上手いと思った。

飾り気の無い静かな静かなアイドル映画。それでも爽やかな感動を味わえる。こういう作品があってもいいと思う。そういう意味ではたとえハズレが多くても,アイドル映画って無くなってほしくないな,と思うのだ。

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