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2010.02.10

おとうと

109シネマズ広島。山田洋次監督。吉永小百合主演。

世間的には絶賛されているこの作品だが,僕は納得がいかない。作りは王道でとてもいい画だと思う。だが,その脚本と演出がベタ過ぎて…。これを『古典』と解釈すればよいのだろうか。なぜ『現代劇』で,山田洋次監督が一体何を問いかけたかったのか,その『魂』が僕にはこの作品からは読み取れない。

吉永小百合の演技は上手いとはとても言えないし,鶴瓶はギャーギャーわめくだけ。本当にこんな演出でいいの?豪華脇役陣を考えると,これくらいの作品に仕上がるのは普通で,観客としてはもっともっと上を期待すると思う。ラストシーンなんかは,山田洋次監督の自己満足そのものであって,とても感動という境地まで行けない。ぶつ切りに切った野菜のサラダみたいな作品で,大味で,総じて軽いと感じる。

ところが,この作品が普段映画をあまり観ない層にまで『優良作品』というレッテルが刷り込まれていて,僕の周りでも『観たい』という人がとても多いのには本当に驚く。

パンフレットも豪華版で800円もしたが,半分読んで,読む気がなくなった。これも自己満足の世界だったからだ。

やはり山田洋次監督には,邦画監督の先頭集団を引っ張っていってほしい。『映画というものはこういうものだよ』とか『こう作ったら破たんはないよ』というもの,そのコツを山田洋次監督が持っているのはよく分かる。でも,人に感動を与えるという面では大切なものが欠けている作品だと思う。そんな小手先の技巧にはごまかされたくない。僕は山田洋次御大には,もっともっと過大なものを要求する。そういう意味で,辛口の評価となった作品だった。

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2010.02.08

ジュリー&ジュリア

サロンシネマ1。ノーラ・エフロン監督。メリル・ストリープ,エイミー・アダムス主演。

まず最初に伝えたい。この作品は5年に1本あるかないか,それくらいの傑作だ。少なくとも僕はそう思っている。この作品に映画館で出会えたことに感謝したいほど幸せだ。とにかく観た人を幸せにしてくれる作品である。そういう作品を傑作と呼ばずして何を傑作と言うのだろうか。皆さんにはこの作品をできれば,映画館のスクリーンで観てほしい。久しぶりに映画というものの素晴らしさを体感できる作品に出会った。きっと皆さんも同じ体験ができるはずだ。

物語は60年前のフランスで,フランス料理を勉強し,助手を必要としないアメリカの料理人のために壮大なレシピ本を執筆することに奮闘するジュリア(メリル・ストリープ)と,その50年後のニューヨークで,彼女が本に残した全524のレシピを365日で作り,自分のブログにその奮闘ぶりをアップすることに挑戦するジュリー(エイミー・アダムス)の話が平行して進む。

メリル・ストリープ演じるジュリアはものすこくアクがあるけれども,全く憎めない,人を惹きつける素晴らしい魅力を持った女性だ。メリル・ストリープはこのクセの強い役を全く嫌味なく演じていて,本当に素晴らしい演技だった。ジュリアの人間的魅力にグイグイと引き込まれてしまう。そして彼女の作る料理の美味しそうなこと。この美味しそうな料理をスクリーンの大画面で観ていると,向こうからバターの香りが漂ってきそうな錯覚に陥るほど。料理を作る姿が頼もしくて,また最高に面白そうで楽しい。『食べる歓びは生きる歓び』。ジュリアがそう語りかけてくれる。

一方のアイミー・アダムス演じるジュリーは30歳を前にして,自分に確固たる自信が持てないでいる。そういう自分を変えたくて,ジュリアのレシピ本の500以上のレシピを1年間で作りあげるという目標を立てる。それをブログに毎日書き綴ることで,自分を鼓舞し,料理の腕と共に人間的にも成長していく。泣いたり叫んだりしながらも,料理に奮闘するジュリーはとてもキュートで,頑張れって応援したくなる。

そして,忘れてならないのが,二人のパートナーの存在。二人の夫が愛情豊かに妻を支える姿の頼もしく,また素晴らしいこと。理解ある,愛情深い夫の存在なくしては,ジュリーとジュリアの挑戦も,ゴールに届くことはなかっただろう。この旦那様二人がまたとても魅力的で,この作品の絶妙なスパイスになっている。妻が一生懸命作った料理を美味しそうに食べる。そしてその美味しさを言葉にして妻に感謝する。そういうできそうでなかなかできないこと,あなたは毎日なさってますか。

そして,物語は二人がゴールにたどり着くまでを軽やかに描きあげる。その感動は,思わずスクリーンに向かって拍手したくなるほど。観た後,その感動でお腹がいっぱいになり,またたまらなく幸せな気分になれる。僕がこの作品を強く推すのはその幸福感が滅多に得られないものだからだ。こんな作品はそうはないと断言できる。それくらいに僕はこの作品が気に入った。本当に大好きな作品で,『人生のベスト○○』というものを考えるとしたら,これからの人生でもこの作品を必ずリストアップするだろう。

本当に幸せいっぱいの心地よい気分で,エンドロールで僕は自然と拍手していた。そんな作品は本当に滅多にない。是非この幸福感を劇場で皆さんにも味わってもたいたいものだ。

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2010.02.07

ゴールデンスランバー

ワーナーマイカルシネマズ広島。中村義洋監督。堺雅人主演。

巨大な権力を持つ何者かに首相暗殺犯人に仕立て上げられた男の逃亡劇を縦糸に,彼を信じ,支える友人達との友情劇を横糸に絡めて描く,伊坂幸太郎原作小説の映画化作品。

結局,主人公をハメた真犯人は誰だったのかが全く明かされない等,ツッコミどころは満載だったのだけれど,単純に平均点以上に面白かった。演者もそれぞれ個性的で魅力のある役を演じており,娯楽作品としてはそれなりに楽しめる。僕はこの作品を観て,原作本が読んでみたくなった。この作品はそれで十分だと思う。

堺雅人は当然上手くて,グイグイ引き込んでくれるのだが,それ以上に僕は竹内結子の役者としての成長ぶりに注目したい。小さい子供がいる母役と大学生時代の役を難なく魅力的にこなしている。プライベートでも一児の母となったことが,彼女の演技の幅を広げたと言える。この作品を観て,また昔のように竹内結子が好きな女優と言えるようになった。これからどんな女優に成長していくか楽しみである。

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ラブリーボーン

109シナマズ広島。ピーター・ジャクソン監督。シアーシャ・ローナン主演。

『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督が贈る感動超大作というふれ込み。僕は『ロード~』も『キング・コング』も大好きな作品なので,ピーター・ジャクソン監督の最新作にものすごく期待していた。

が,結論。その期待には遠く及ばない出来だった。

犯人探しの楽しみも序盤であっさりと明かされてしまうので,全くない。主人公のスージーが天国に行く前の『中間の地』で,家族と大切な人達を思い続けるのだが,彼女が直接的に家族を守ったりするわけではないので,その辺りの描き方が中途半端で,受ける感動が薄い。

ただその作り込みは,さすがと言わせるものがあり,映像作品としての完成度は非常に高い。そこは認める。つまり,この作品に僕のような強い思い入れがない方には案外あっさりと認められる要素は残っていると言える。駄作とは言わない。ただ僕がこの作品に期待し過ぎていただけだ。

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Dr.パルナサスの鏡

109シネマズ広島。テリー・ギリアム監督。ヒース・レジャー主演。

ヒース・レジャーの遺作。撮影半ばでシースが急逝したため,彼の役を3人の役者(ジョニー・デップ,ジュード・ロウ,コリン・ファレル)が引き継いで演じている。

鏡の中の幻想世界の描写がユニークで面白い。鏡に入ると顔も変わる,という設定でヒース不在のハンデを上手く乗り越えている。話の設定も奇抜で面白い。絶賛する訳ではないが,暇つぶしのデートムービーと考えれば,肩もこらずに2時間楽しめるだろう。

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サヨナライツカ

シネツイン本通り。イ・ジェハン監督。中山美穂,西島秀俊主演。

これは評価が難しい作品だ。大人の恋愛映画として絶賛している人もいる。が,僕はこの作品の世界観についていけなかった。つまり,肉欲から生まれた愛が,やがて精神的な愛に昇華していくという世界に。だから,その『愛』の性質が切り替わる『スイッチ』の場面が上手く理解できなかった。だから,いきなり25年後の二人の愛を目の前に提示されても,『え?25年間も想い続けていたの?素晴らしい!』と言う気にはなれない。

中山美穂は12年ぶりの映画主演のブランクとその40歳という年齢を全く感じさせないくらいに綺麗だったし,西島秀俊も相変わらず上手いし,その身体作りも含めて素晴らしい演技だった。石田ゆり子も難しい役柄をさらりと演じきっていて好感がもてた。

ファッションも音楽も画質も凝った造りで素晴らしいのだが…。

このレビューが難しくて書けなくて,ずっと更新が止まってた。本当にこの作品のキモである『こういう恋愛観もある』ということが,理解できるか否かで,全く評価が変わってくる。良かったという人もきっといるだろう。でも,僕はダメだったと言っておく。

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ファッションが教えてくれること

シネツイン新天地。R.J.カトラー監督。

『プラダを着た悪魔』のモデルと言われる,アメリカ版ヴォーグの編集長,アナ・ウィンターの,恒例の秋の大特集号である9月号発行までの5ケ月間を追ったドキュメント作。

まず,アナのその実行力と部下をガンガン引っ張っていくカリスマ的な仕事力には感服した。

でも,ただそれだけ。それを淡々と抑揚なく追っかけているだけなので,女性のファッションに疎い僕には少し退屈な作品になってしまった。ヴォーグ読者なら,必見の作品なのだろうか。もっと華やかな画を期待していたのだが,題名にしてはわりと地味な印象しか残らなかった。

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2010.02.03

サロゲート

109シネマズ広島。ジョナサン・モストウ監督。ブルース・ウィリス主演。

人類の98%が『サロゲート』というロボットの分身を自宅から遠隔操作して生活している近未来の話。

『アバター』とモロかぶり。設定自体に新鮮味はない。

おまけに謎解きの過程がもっさりしていて,全く緊迫感がない。僕は途中でうたた寝してしまった。正直,全く面白くなかった。残念。

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